1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳循環障害モデル動物における中枢神経機能に及ぼす脳代謝賦活薬と向精神薬の相互作用
Project/Area Number |
01571258
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
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Keywords | 脳循環障害モデル / 中枢神経系 / 背髄反射 / 脳代謝賦活薬 / 向精神薬 / 相互作用 / Aglng |
Research Abstract |
高齢化に伴い、老人医療の重要性が急速にクロ-ズアップされてきている。老化はあらゆる生物にとって不可避で加齢とともに進行する。それに伴い、様々な形態学的、生理学的並びに生化学的変化ないし変動がみられ、殊に中枢神経系に及ぼす影響は重要な問題である。これらに関して薬理学的立場から、加齢動物の脳循環障害モデルを用い、加齢に伴う、行動、背髄反射活動電位および腓骨筋収縮等の変化を指標として脳代謝賦活薬と向精神薬との相互作用について検討した。 実験材料並びに方法 若齢群は8〜9週齢のSD系雄性ラット、加齢群は26〜30か月齢のSD系雄性ラットを用いた。脳循環障害動物の作製はpentobarbital-Na 20mg/kg i.p.麻酔下で左総頚動脈を結紮し、術後、1,3,5,7日目に実験を行った。 自発運動、協調運動の測定はMK-ANIMEX並びにKN-75ROTARODを用い、被験薬投与後120min間行った。背髄反射活動電位の測定はα-chloralose-urethane麻酔下で渋谷の方法に従い、腰椎5〜6(L5〜L6)までLaminectomyを行い、主としてL5の後根を刺激装置(SEN-7103)により電気刺激し、同側の前根より単シナプス反射(M.S.R.)及び多シナプス反射(P.S.R.)活動電位をオシロスコ-プ(VC-11)に導出記録した。 実験結果1.一般症状および自発運動(1)左総頚動脈紮後、結紮側の眼瞼下垂が加齢及び若齢報とも見られ、その強度は加齢で強くかつ回復は遅かった。(2)結紮後、加齢、若齢とも自発運動、特に探索行動の減少が著明であった。これら[(1)、(2)]の症状の回復は若齢群で早く、加齢群で遅かった。(3)薬物処置群の場合、meclofenoxate(mf)単独群とcholorpromazine併用群を比較するとCPZ併用群では結紮、非結紮群とも、若齢、加齢群の自発運動量が著明に減少した。 2.協調運動(1)結紮後の協調運動は加齢、若齢群とも著明に低下した。この低下は若齢群で回復が著しく早く、14日以降では非結紮群と差は認められなかったが、加齢群では協調運動の低下が持続した。(2)薬物処置群の場合、結紮群の協調運動低下はmf投与によって若齢群、加齢群とも回復傾向が認められるが、この回復の度合は加齢群で著しかった。また、mf単独投与処置群とCPZ併用群とを比較すると併用群の協調運動の回復が著明であった。 3.背髄反射活動電位(1)M.S.Rの立上がり(on set)は若齢群より加齢群の方が遅かった。かつ総頚動脈の結紮によってより著明に遅延した。(2)結紮後、若齢、加齢とも背髄反射電位の急激な減少が見られた。この減少は加齢群で著明であった。(3)薬物処置の場合、mf単独処置群では、結紮及び非結紮群とも加齢群では背髄反射電位に影響を及ぼさなかったが、若齢群では背髄反症電位を増大させた。また若齢群におけるCPZ併用群では結紮、非結紮ともP.S.R.電位の減少が見られた。
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