1990 Fiscal Year Annual Research Report
脳循環障害モデル動物における中枢神経機能におよぼす脳代謝賦活薬と向精神薬の相互作用
Project/Area Number |
01571258
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Research Institution | Tokuo Medical College |
Principal Investigator |
松田 宏三 東京医科大学, 医学部, 講師 (20074651)
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Keywords | CNS / 脳代謝賦活薬 / 向精神薬 / 行動 / Aging |
Research Abstract |
中枢神経系の機能低下に起因する精神障害時における脳代謝賦活薬と向精神薬の併用は、しばしば用いられている。しかしながら、これら薬物の中枢神経系への併用効果の薬理作用は、必ずしも明確にされているとは言い難い。 加齢動物を用い、脳循環障害モデル動物を作合し、行動、脊髄反射活動電位、および椎骨動脈血流量の変化を指標として、これら薬物の併用効果について検討した。 実験結果は、一般症状、自発運動量および協調運動は、総頚動脈結紮により探索行動、回避行動の抑制、自発運動量の減少、ならびに鎮静化が見られた。これらの抑制および鎮静化は、Meclofenoxate(MF)1mg/kg,Chlorpromazene(CPZ)0.1mg/kg単独群では影響を及ぼさなかったが、MF+CPZ併用群では、探索行動の活発化による自発運動量の増加が見られた。 また、総頚動脈結紮による脊髄反射電位の低下が見られ、MF,CPZの各単独群では、影響を及ぼさなかったが、MF+CPZの併用により活動電位の回復傾向がみられた。さらに、総頚動脈の結紮により椎骨動脈の血流量の増加が認められた。MF,CPZ単独群では、その血流量に影響を及ぼさなかったが、MF+CPZでは、血流量の増加傾向がみられた。 以上の結果に見られるごとく、総頚動脈結紮により、探索行動、回避行動、自発運動などの抑制が認められたことは、総頚動脈結紮により外側および中隔鼻動脈、眼動脈、外側眼動眼瞼動脈および前後下小脳動脈の血行障害に基づく血液供給不全に伴う、嗅球、嗅脳、動眼神経および小脳機能低下に基因するものと見られる。 これらの現象は、MF+CPZの併用によりMFが椎骨動脈の血流量を増加させ、さらに、CPZのα遮断効果発現により、側副循環に由来する末梢血管血流量を増加させるため、脳循環を改善させるものと見られる。
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