1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571270
|
Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
河西 浩一 香川医科大学, 医学部附属病院, 教授 (60033057)
|
Keywords | ヒト赤血球 / インスリン分解酵素 / 高分解能高速液体クロマト |
Research Abstract |
今年度の計画は、ヒト赤血球中インスリン分解酵素(IDE)の分離精製を目的とした分離条件の検討を行った。 試料となるヒト赤血球溶血液の調整は、抗凝固剤を添加したヒト全血プ-ルを用い、常法にて行ったがカラムクロマト用試料とするためにクロロホルムにて脱脂処理を行う必要があった。得られた溶血液試料は、当初の計画に従って(1)イオン交換クロマトグラフィ-(ヘモグロビンの除法)、(2)ゲルろ過、(3)イオン交換クロマトグラフィ-の3段階の過程で分離条件を検討した。この方法で得られた結果は、SDSーPAGE電気泳動法などにより分子量約10万のほぼ単一のバンドとして分離可能であったが、ヘモグロビンの除去を完全にするために2過程目のゲルろ過を2度実施する必要があり、さらに精製過程が多段階化したため精製度合は向上したものの本来必要となるインスリン分解活性は著しい低下が認められた。これらの結果より、新たにIDE活性を保持することを重点においた分離条件を考慮し、溶出バッファ-に2価の金属イオンやDTTを添加し、pHもIDEの至適pH付近(pH7)でカラムクロマトを行える方法に変更した。またクロマト分離の所要時間の短縮と再現性を向上させるために高分解能高速クロマトシステム(FPLC system;Pharmacia)を用いたイオン交換(Mono Q)、ゲルろ過(Superose 12)の2段階とした。得られたIDE分画は、若干の不純物を含むものの24時間以内に分離することが可能となり、IDE活性も保持されていた。 不純物の分離に関しては新たな分離手段を必要とするが、等電点電気泳動などからの結果からクロマトフォ-カシングにより分離できる知見を得ており、その条件について検討中である。
|