1989 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞患者の階段歩行労作時における循環動態と看護援助法に関する検討
Project/Area Number |
01571278
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
寺町 優子 北里大学, 看護学部, 講師 (30188685)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 階段歩行 / PRP(Pressure-rate-product) / リハビリテ-ション |
Research Abstract |
急性心筋梗塞患者の階段歩行労作時における看護援助法の確立をめざし、血行力学的観点から検討を行った。 対象および方法:急性心筋梗塞患者73例、健常者31例を対象とし、階段歩行労作に関し、臥位3分、立位3分、廊下歩行50m、2階段下り、2階段上り、廊下歩行50m、および臥位時における収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、PRPおよび心電図の変化を1分毎に観察し、病態との関連を吟味した。 結果:1)急性心筋梗塞患者の階段歩行労作においては、これまでに提示したいずれの日常生活労作よりも、コントロ-ル値に比べPRPの著明な増大が示されたが、ST偏位の異常は認められなかった。また、健常者では、これらとほぼ同様な変化であったが、階段上り直後においては、心筋梗塞患者に比べ、PRPの有意な増大が示された(P<0.025)。2)階段歩行労作後の回復時間は、健常者では、平均1.19分で回復したのに比べ、心筋梗塞患者では、1.87分に延長した。3)60才以上の高令患者では、60才未満群に比べ、PRPの増大は有意に軽度であった(P<0.025)。4)EF、梗塞部位、病日との関連は認められなかった。5)心室性期外収縮の散発例が1例示された。 考察:階段歩行労作時においては、心筋酸素消費量の著しい増大が示されたが、急性心筋梗塞患者は、健常者に比べ、PRPの増大は、有意に軽度であった。また、労作後の回復過程においても有意な延長が示され、心機能の低下が示唆された。さらに、高令の心筋梗塞患者においては、加令による心機能および末梢循環機能の不安定性が認められた。したがって、階段歩行労作時の看護援助に際しては、高令者、および回復時間の延長が著しい事例に注目する必要があると思われる。
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