1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571284
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
塚本 増久 産業医科大学, 医学部, 教授 (40039912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢辺 京子 産業医科大学, 医学部, 助手 (10215923)
堀尾 政博 産業医科大学, 医学部, 学内講師 (90131937)
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Keywords | 蚊 / 電気泳動 / 生化学的系統分類 / 分子量推定 / 酵素多形現象 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
日本産蚊科についての従来の形態学による分類体系を、種々の酵素の電気泳動像で蛋白質分子レベルから生化学的に比較することにより系統学的に考察した。研究費交付の決定があった時期には既に蚊のシ-ズンは終わっており、野外で採集できる蚊の種類も僅かであったので、西表島と石垣島で多くの種類を採集し北九州へ持帰って実験をした。その後、琉球大学医学部へ電気泳動装置や試薬を持参し、研究室を借て琉球列島産の多数の系統を能率よく比較分析し成果を挙げることができた。特に本土には分布していない属や種が多く含まれており、また同一亜属内の類縁関係も比較検討することができた。重点的に調べられた酵素はブドウ糖燐酸ムタ-ゼ(PGM)、ブドウ糖燐酸イソメラ-ゼ(GPI)、リンゴ酸酵素、ヘキソキナ-ゼ、エステラ-ゼなどである。多くの種類で酵素多形現象が認められたが、全く変異を示さない酵素や集団も見られた。例えばクロツノフサカやフタクロホシチビカのPGMでは4対立遺伝子の組合せによる著しい多形を示したにも拘らず、GPIに関しては調べられたそれぞれ139個体および267個体では全く変異が見られなかった。また別種のGPIのヘテロ個体は3本のアイソザイムバンドを示すことから、ヘテロ型のバンドは2種類のサブユニットからなる2量体の雑種分子であること、それに対しどのヘテロ型でも2本のバンドしか示さないPGMの場合ではそれぞれの対立遺伝子が単量体の酵素蛋白を作るものと推定された。幼虫消化管の脱水素酵素阻害物質については液体クロマトにかけて分離し、分子量ほぼ20万の蛋白質であると推定された。また、LDH,MDH,PGM,GPIなどの酵素も分子量20数万から30数万と広く分布していた。さらにこれらの酵素の主なバンドについても等電点電気泳動法により等電点を測定した。これらのデ-タはコンピュ-タに入力し、また近い内に発表する予定の英文論文の原稿や原図の作成にも威力を発揮している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsukamoto,M.: "Enhancement of staining intensity of mosquito larva zymograms after electrophoresis" Journal of UOEH. 11. 461-479 (1989)
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[Publications] Tsukamoto,M.: "Electrophoretic comparison of phosphoglucomutase(PGM)and glucosephosphate isomerase(GPI)and isozyme polymorphism observed in some mosquito larvae of Japan" Japanese Journal of Sanitary Zoology. 41. (1990)