1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571285
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
川根 博司 川崎医科大学, 呼吸器内科, 助教授 (80140490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中浜 力 川崎医科大学, 検査診断学, 講師 (50180336)
矢木 晋 川崎医科大学, 呼吸器内科, 講師 (60157956)
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Keywords | BRM / 化学療法 / 併用効果 / 生体防御 / 実験肺炎 |
Research Abstract |
Romultide[MDPーLys(L18),以下L18]は多彩なBRM作用を持つMDP誘導体で、感染症治療における化学療法剤との併用効果が期待されている。我々は昨年の報告で、マウスKlebsiella肺炎モデルにおいて、L18とCMXとの併用効果(生存率の改善、肺内菌数増加の抑制等)が認められる事、その機序としては炎症細胞の機能亢進が示唆される事を報告した。今年は、L18の健常マウス肺胞マクロファ-ジ(以下AMφ)の総数、走化能、貪食能に対する作用を検討したので報告する。 〈対象及び方法〉5週令雄のICRマウスに100μg/匹のL18を皮下投与した。投与後1から4日までEDTA添加PBSにて肺胞洗浄(BAL)を施行、各種機能に対する検討を行った。(1)AMφ数推移,総細胞数を自動血球計測装置にて測定、塗抹標本を作成して分画を計測した。(2)走化能検討,1群3匹の細胞をプ-ルして用いた。10%FCS添加のRPMI1640培地に細胞を浮游し、1×10^5をTranswellチャンバ-(膜孔径8.0μm)の上室に播種、走化因子としてfーMLPを下室に添加した。37℃,5%CO_2の環境下で90から150分培養後、膜を染色し、膜下面に遊走した細胞数を5視野計測して平均遊走細胞数を求めた。(3)貪食能検討,組織培養スライドに5×10^4個の細胞を付着させ、被食粒子として、ラテックスビ-ズを添加、37℃,5%CO_2の環境下で15から60分培養した。細胞外のビ-ズを除去した後、固定染色し、細胞200個を観察、貪食率及び貧食ビ-ズ数を計測した。[結果]AMφ数の推移はL18投与群及び対照群(PBS投与)の両者で5ー8×10^5個とほぼ一定で有意な変動は認めなかった。しかし遊走能の検討ではL18投与群は投与2日後で、対照群の約4倍の遊走細胞が認められ,更に貪食能でもL18投与群は投与1日目に貪食率と貪食ビ-ズ数の両者で対照群に比較して有意に高い結果が認められた。これらは、マウス肺炎モデルにおけるL18の併用効果にはAMφ機能の亢進が関与する可能性を支持する所見と考えられた。
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[Publications] 多田 羅治,矢木 晋,副島 林造,中浜 力,他: "マウス肺炎モデルにおけるMUROCTASINとCMXの併用効果の検討" 第37回日本化学療法学会総会抄録集. 137 (1989)
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[Publications] 多田 羅治,中浜 力,矢木 晋,副島 林造,他: "マウス肺炎モデルにおけるMUROCTASINとCMXの併用効果の検討ー第2報 病理組織像の検討ー" 第38回日本化学療法学会総会抄録集. 103 (1990)
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[Publications] 多田 羅治: "動物肺炎モデルにおけるMDPーLysL18と抗菌剤の併用効果" 第38回日本化学療法学会総会抄録集. 47 (1990)