1989 Fiscal Year Annual Research Report
知覚と認知に関する弁別素性理論とその工学的応用に関する研究
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01580024
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
北澤 茂良 静岡大学, 工学部, 助教授 (00109018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壇辻 正剛 京都大学, 文学部, 助手 (10188469)
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Keywords | 音声認識 / 弁別素性 / 人工内耳 / 聴覚モデル |
Research Abstract |
本年度は弁別素性理論を自動音声認識の立場から新たに展開するとともに応用面において音声認識と医用工学的側面から人工内耳音の疑似聴取実験および蝸牛および聴神経系の機能モデルを通して音声情報の知覚と認知に関する知見を深めてきた。 1)音響素性の設定=音素認識を考察し素性レベルの導入を提案した。代表的な素性理論としてJakobson流、Chomsky流、Ladefoged流の問題点を指摘し、Sageyによる素性の階層構造について批判的に検討した。 2)聴覚機構の特性と音響素性間の階層構造の研究=音素、異音、音響パラメ-タの各レベルを設け、素性間に階層構造を設定した。 3)聴覚フィルタ-モデルに基づく音響処理機構の研究=聴覚フィルタ-のモデルで抽出した特徴が音素の不変性を反映していることを確認するためにDelegutte流の蝸牛周波数特性を近似する線形帯域通過フィルタ-を設計した。さらに、有毛細胞に接した聴覚神経の発火パタ-ンをシミュレ-トするMeddisのモデルのパラメ-タを最適化した。破裂子音を分析した結果、破裂音の破裂性の特徴が抽出されることを確認した。 4)蝸牛フィルタ-を実時間でシミュレ-トできるディジタルジグナルプロセッサを用いた並列パイプライン処理方式によるハ-ドウェアシステムを開発し、次年度以降の研究環境を整備することができた。 5)人工内耳の音響処理の研究=人工内耳のスピ-チプロセッサが抽出している簡素な音響パラメ-タに基づく音響シミュレ-ション方式による聴取実験結果から弁別素性について考察した。刺激音をF0、F1、F2のそれぞれを変項にして固定したり除去したりした種々の組合わせで合成して作成し、これを聴取した。異聴の傾向について弁別素性の観点から考察した。また、この結果に基づいてハ-ドウェアを変更した上で再度聴取実験を繰り返しその効果を確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shigeyoshi KITAZAWA: "HARDWARE SIMULATION OF COCHLEAR IMPLANT SYSTEM" STUDIA PHONOLOGICA. 23. 56-67 (1989)
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[Publications] 壇辻正剛(分担): "講座 日本語と日本語教育第11巻言語学用説(上)「音声学と音韻論」pp.21-59" 明治書院, p8.21-59 (1989)