1990 Fiscal Year Annual Research Report
石油系新溶剤ノルマルウンデカンのクリ-ニング性能と酵素の応用に関する研究
Project/Area Number |
01580072
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤井 富美子 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (40047056)
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Keywords | ドライクリ-ニング / 石油系溶剤 / ノルマルウンデカン / 可溶化水 / 水溶性よごれ / 粒子よごれ / FTーIR / 自由水 |
Research Abstract |
ドライクリ-ニングでは,現在,石油系,塩素系およびフッ素系溶剤の3種の溶剤が使用されている。近年,塩素系溶剤は地下水を汚染し,また,発癌性の疑いがあることから水質汚濁防止法の規制対象物質に指定されるとともに,化審法の第2種特定化学物質として使用規制が行われている。一方,フッ素系溶剤は成層圏におけるオゾン層の破壊と温室効果などにより国際的に使用全廃の方針が決定されている。この様な状況の中で,これらの溶剤に代替する溶剤を検討することは早急の課題である。従来,石油系溶剤は可燃性溶剤であるために消防法による規制が行われているが,最近開発されたnーウンデカンは従来品に比べて引火点が高いことから代替溶剤の1つとして注目されている。そこで,平成元年度では,nーウンデカンのクリ-ニング性能を従来品と比較検討し,その成果をふまえて,平成2年度ではドライクリ-ニングへの酵素の応用に先立って,溶剤中の逆ミセルに可溶化された水の状態についてFTーIRにより検討した。得られた成果の概要はつぎのようである。 界面活性剤エロゾ-ルOT溶剤溶液による最大可溶化水分量は,nーデカン,nーウンデカンなどの低芳香族炭化水素のほうが芳香族炭化水素を含む従来品よりも大きい。水溶性よごれの除去は可溶化水分量の増加とともに増大し,可溶化水分量の大きい溶剤ほどすぐれている。また,油・粒子混合汚れの洗浄性は,低芳香族炭化水素のほうが芳香族炭化水素を含むものよりもすぐれている。可溶化水は混合よごれの洗浄性を低下させるが,水/界面活性剤のモル比が小さく,その比が常に一定であれば洗浄性の低下は生じない。FTーIRによりエロゾ-ルOT逆ミセル中の水の状態を検討した結果,水/エロゾ-ルOTのモル比が大きくなるにつれて,ミセル中で水は結合水,中間水,自由水の3つの状態に変化し,この水の状態がよごれの洗浄性と密接に関係していることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)