1989 Fiscal Year Annual Research Report
食品中の水の存在状態に関する研究(各種ゲル中における強固な結合水の比較)
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01580080
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
野口 駿 共立女子大学, 家政学部, 教授 (50086708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 昌子 共立女子大学, 家政学部, 助手 (70129279)
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Keywords | ゲルの強固な結合水 / 寒天 / k-カラギ-ナン / カ-ドラン / 卵アルブミン / ゼラチン / ワキシ-コ-ンスタ-チ / 緩和時間 |
Research Abstract |
多糖類の寒天、k-カラギ-ナン、ワキシ-コ-ンスタ-チ、カ-ドランとタンパク質の卵アルブミンおよびゼラチンを用い、基質濃度1-30%の範囲でゲルを調製し、10および30℃においてパルスNMR(ブルッカ-社ミニスペックPC120)を用いて緩和時間T_1,T_2を測定し、これから強固な結合水量を求めた。 試料の含水量が増すにつれて結合水量は増加し、場合によってはその後ほぼ一定値に達したがカ-ドランとワキシ-コ-ンスタ-チは測定範囲内で結合水量はほとんど一定であった。強固な結合水量(gH_2O/g乾燥物)は寒天で最も多く0.6-1.0であり、以下、カ-ドラン0.10-0.18,卵アルブミン0.07-0.18,k-カラギ-ナン0.06-0.28,ゼラチン0.02-0.16,ワキシ-コ-ンスタ-チ0.03-0.07であり、特に多糖類とタンパク質との相違は認められなかった。 結合水量はカ-ドランのゲルを除き、いずれも10℃における方が30℃におけるよりも多く、これらにおける結合水の形成は発熱反応で、見かけのエンタルピ-の減少はゼラチン35-52,ワキシ-コ-ンスタ-チ18-23,k-カラギ-ナン0-28,卵アルブミン5-7,寒天1-9KJ/moleであったが、カ-ドランのみはエンタルピ-の増加が約10-16KJ/moleの吸熱反応で、カ-ドランのみは結合水形成の機構が異なることが示唆された。ゼラチンは30℃での結合水量の減少が著しく、ゲルの融解と関係のあることが推定された。 ゲル中の結合水量はゲル調製後数日でほぼ一定量に達したが、ワキシ-コ-ンスタ-チゲルのみは増加を続け、1週間後にも平衡に達せず、老化の進行と関連するものと考えられた。
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[Publications] 野口駿: "食品中の水" 日本家政学会誌. 40. 755-763 (1989)
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[Publications] 野口駿: "数種のゲル中における強固な結合水の比較" 日本家政学会誌. 投稿予定.
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[Publications] 野口駿: "身近な現象の化学Part2 2.炊く、蒸す-台所の化学-" 日本化学会編(培風舘発行), 231 21 (1989)
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[Publications] 野口駿: "家政学事典 食品中の水" 日本家政学会編(朝倉書店発行),