1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580084
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
片山 倫子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (20056386)
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Keywords | 銅フタロシアニン染料 / 生分解 / 土壌環流 / Myrothecium Verrucaria |
Research Abstract |
巨大環二重結合系の中心に銅イオンがキレ-ト状に入った銅フタロシアニン染料は化学的に安定で美しい青色を示し染色工場や手工芸染料および記録用インク等に広く利用されているが、その生分解性に関する報告は皆無である。そこで本染料の生分解性を検討し分解菌の検索を、濃度40ppmの染料水溶液を土壌に環流し環流液のスペクトル変化、銅イオン濃度変化および全有機炭素量変化を追跡し染料の生分解性を検討する方法により試みた。分解菌の分離には銅フタロシアニン染料を唯一の炭素源とする寒天培地を用いた。銅フタロシアニン染料により予備吸着処理および馴養処理を施した土壌に染料水溶液を290日間環流したところ、環流開始後2週間で環流液の吸光度とCu^<2+>濃度が平行して減少し0に近い値を示したが、全有機炭素量は7日目以降殆ど減少しなかった。一方、減菌土壌では全く分解を認めなかった。環流土壌より銅フタロシアニン染料を単一炭素源として生育し、コロニ-周辺に著明な脱色域を生ずる糸状菌KW-1株を分離し、各種の性状に基づきMyrothecium Verrucariaと同定した。本菌はこの染料を部分分解して生育に利用すると共に、生成するCu^<2+>を菌体中に蓄積するものと推定した。さらに国内に保有しているMyrothcium Verrucaria の中から徴工研の保存菌株であるMyrothecium verrucarias-13株を入手し、同菌株について銅フタロシアニン染料の分解能を確認した。S-13株およびKW-1株による培養液をメンブランフィルタ-で炉過して得た粗酵素液を銅フタロシアニン染料水溶液に添加したところ急速に脱色し、S-13株では24時間後にはほぼ20%の吸光度にまでO.D.が低下した。これらの結果からMyrothecium Verrucariaが生産した酵素によって銅フタロシアニン染料の分解が生じるものと推定しMyrothecium Verrucaria由来のBilirubin Oxidaseによる本染料の分解性を検討したところ、急速な脱色が確認できた。
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