1990 Fiscal Year Annual Research Report
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01580087
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
森下 敏子 武庫川女子大学, 家政学部, 助教授 (70125144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 治子 武庫川女子大学, 家政学部, 助手
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Keywords | リモノイド / リモネ-トA環ラクトン / 17ーデハイドロリモネ-ト / ノミリン / ナリンギン / バンペイユ / マ-マレ-ド / 果実酒 |
Research Abstract |
カンキツ類の苦味増加機構について次の3つの視点から研究を進めた。 (1)バンペイユの茎・葉におけるリモノイドの代謝 (2)マ-マレ-ドにおける果皮の加熱処理が苦味におよぼす影響 (3)バンペイユを用いた果実酒の苦味成分の研究について研究を行った。(1)ではカンキツ類の苦味成分の代謝および貯蔵形態を知り、茎におけるリモノイドの存在を確認することを目的とし、バンペイユの茎を試料とし、顕微鏡による組織の観察およびHPLCによるリモノイドの測定を行った。 検鏡の結果、茎の皮層細胞周辺に塩化メチレン可溶の暗色結晶が認められ、リモノイドと推定された。9月から12月にかけて葉、茎の順にリモネ-トA環ラクトンの合成が行なわれること、ならぴに棯実期の12月にかけて茎の皮層を転流し、果実で中性リモノイドとなり貯蔵されることを認めた。 (2)ではマ-マレ-ドの調製における果皮の加熱処理が苦味と風味におよぼす影響について検討した。リモニンは5分加熱によりリモネ-トA環に転換し始め、さらに5分加熱により、17ーデハイドロリモネ-トA環ラクトンが検出された。ナリンギンは10分の加熱により84%減少した。官能検査の結果、15分加熱果皮では苦味は消失したが風味は残存していることを認めた。 (3)ではバンペイユを用いて果実酒を作成しリモノイドおよびナリンギンのアルコ-ルへの溶出を検討した。果肉からのリモニンの溶出はエタノ-ルおよびホワイトリカ-において顕著に認められ、ノミリンはエタノ-ルおよび水において顕著に認められた。果皮を剥皮し、果肉のみをホワイトリカ-に浸漬した果実酒は苦味も少なく、さわやかな風味を有し、果実酒として適していることを認めた。
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