1991 Fiscal Year Annual Research Report
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01580087
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
森下 敏子 武庫川女子大学, 学政学部, 助教授 (70125144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村瀬 治子 武庫川女子大学, 学政学部, 助手
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Keywords | マ-マレ-ド / ナリンギン / ポンシリン / バンペイユ / ネオヘスペリジン / ノミリン / リモノイド / リモニン |
Research Abstract |
カンキツ類の苦み機構について次の2つの視点から研究を進めた。 (1)カンキツ果汁の保存による苦み成分の変化、(2)マ-マレ-ドにおけるカンキツ品種の混合が味覚におよぼす影響について研究を行った。(1)ではカンキツ果汁の加工上の問題となっている搾汁後の苦み増加について、搾汁後の保存条件に焦点をあて検討した。試料は9月採取のバンペイユとグレ-プフル-ツを用いた。果汁に3倍量のジクロロメタンを加え、果汁中のリモノイドを抽出した。前処理として剥皮した果肉をガ-ゼでつつんで圧搾し、果汁を次の条件で保存した。(1)室温(約20℃)保存と5℃冷蔵保存、(2)果汁入り共栓試験管に窒素ガスを充填する嫌気的条件および対照として好気的条件での保存を行った。各々搾汁直後から32時間まで保存し経時的に比較検討した。リモノイドおよびナリンギンの分析はHPLCおよびHPTLCで行い、さらに順位法による官能検査で苦みの評価を行った。官能検査では室温保存と好気的条件の場合に、対照とくらべて苦みに5%有意差がみられ、経時的に苦みが増加した。HPLCの結果、いずれの温度においてもリモニンとイカンギン、カラム保持時間27分の未知物質の増加が見られ、特に、室温保存と好気的条件下で著しく増加した。ナリンギンはいずれの条件でも差は認められなかった。搾汁後の保存温度と酸素の存在がリモノイド分解酵素の活性化の誘因となり、果汁の苦み増加に影響することを認めた。(2)ではユズ、小夏、キンカン、ネ-ブルオレンジを用いてマ-マレ-ドを作成し、加工過程における果皮中の苦み物質の変化について検討した。さらに各果実を1:1で混合したマ-マレ-ドを調製し、単独の果実で作成したマ-マレ-ドとの比較を行った。加熱果皮中のナリンギン、ポンシリン、ネオヘスペリジンはいずれも大幅な減少がみられ、これらはマ-マレ-ドの苦みに関与しないことが示唆された。リモノイドはリモニンは減少したのに対し、ノミリンが増加し、マ-マレ-ドの苦みはノミリンによることが推定された。リモニンの多い品種は好まれない傾向を示し、品質のマイナス要因となることが推定された。2種のカンキツ類の混合によりこれを緩和し、苦み、甘み、酸みを調和させ、風味が向上することを認めた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森下 敏子,村瀬 治子: "カンキツ類のリモノイド類の季節的変動" 武庫川女子大学紀要. 39. (1991)
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[Publications] 森下 敏子: "バンペイユにおけるリモノイド代謝物質の移行" 日本食品工業学会法.