1989 Fiscal Year Annual Research Report
食品素材の配合による焙焼生成機構の差異に関する研究
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01580095
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Research Institution | Tokai Gakuen Women’s College |
Principal Investigator |
西堀 すき江 東海学園女子短期大学, 助教授 (60082369)
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Keywords | クッキ- / 低水分系食品 / アミノカルボニル反応 / 2,3ーdihydroー3,5ーdihydroxyー6ーmethylー4(H)4ーpyranー4ーone / isoーmaltolの前駆体 / ピロ-ル / βーアラニン / フルクト-ス |
Research Abstract |
申請者らは、広く乾熱調理(低水分系食品)における食品成分間反応について研究を進めている。平成元年度は、各種食品素材の配合割合の変化による加熱反応生成物の検討を、低水分系食品であるクッキ-をモデル食品として行った。 その結果、クッキ-様の甘い香気は卵の添加により増大することが分かった。我々の実験系では、その香気は2,3ーDihydroー3,5ーdihydroxyー6ーmethylー4(H)ーpyranー4ーone(DDMP)であり、この物質が卵の添加により生成され、添加量が多くなるとこの生成量も増大することが分かった。また、焙焼初期から生成される香芳には2,3ーDihydroー3,5ーdihydroxyー5ーacethylーframe(DDAF)であることが、今回の各種の機器分析の結果からわかった。この2つの物質は、それぞれマルト-ル、イソマルト-ルの前駆体であった。従来のアミノカルボニル反応関係の実験ではGLCーMSやEIーMSスペクトルで分析されるのが一般的であったため、脱水した物質が検出されていたとも考えられる。また、アミノカルボニル反応においては、アマドリ化合物を経由して進行してゆくというのが定説である。しかしながら、今回の単離同定したピロ-ル骨格を持つ物質がDDMPやDDAFの生成より遅れて生成されることを考えると、低水分系での150度という条件では、DDMPやDDAFはアマドリ化合物を経ない、別の経路も推定される。 また、現在脚光を浴びている、新しい食品素材である糖アルコ-ルやアミノ糖など、フルクト-スを用いないクッキ-では、このDDMPやDDAFの生成は認められず、クッキ-様の香りもほとんどなく、糖アルコ-ルやアミノ糖を用いたクッキ-を調整する場合は、チョコレ-トや各種のエッセンスを併用するとその欠点が補えると考えられる。 平成2年度は、さらに食物繊維添加による加熱反応生成物について、安全性・有効性について検討してゆく。
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