1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580115
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森下 はるみ お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60017134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩川 眞紀 立正大学, 短期大学部, 助教授 (50167277)
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Keywords | 盲児 / 移動運動 / 移動空間図式 / 発達 |
Research Abstract |
都内盲学校・小学部児童を対象に、特に移動空間図式を指標とした、生活環境への適応の度合いを、追跡観察した。 なお、比較対照の為に、晴眼(乳幼)児についても、同様の観察を行なった。 〈結果〉 1)入学当初に比べ、移動距離、移動速度、移動面積などの移動運動指標が、増加する。 2)移動空間には、いくつかの基地(Base)がみられ(教室内では、各自のロッカ-、机など)、それを中心に移動域がひろがる。 3)移動運動指標の増加の前段階として、移動空間図式の形成が綿密になされ、この段階の出現が、晴眼児との大きな差異となっている。 4)移動空間図式の形成のためには、教師の言語的示唆と、触覚(さわる、ふむ、気流を感ずるなど)、聴覚(反射音をきく、音源の位置を覚えるなど)、などの諸感覚との統合がはかられている。 例えば、「このへりの内側はプ-ルです」といって、プ-ルの四辺とコ-ナ-をはいながら手で確認させる。 以上、晴眼児においては、移動運動機能の発達と空間図式形成とが、同時的に生起するのに対し、盲児においては、それが継時的に生起することがわかった。 したがって、盲児の移動運動機能の発達には、空間認知に関する学習が大きく機能している。といえる。
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