1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580160
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小笠原 直毅 大阪大学, 医学部, 講師 (10110553)
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Keywords | 染色体の複製開始 / 枯草菌 / DnaA蛋白 / イニシオゾ-ム |
Research Abstract |
1.細菌染色体の複製開始に際して、複数の特異的蛋白が複製開始点に逐次的に作用して特異的複合体(イニシオゾ-ム)が形成されると考えられている。また、DnaA蛋白が真正細菌で普遍的に複製開始に関与すると考えられることが明らかになっている。しかし、DnaA蛋白による複製開始点の活性化が起こる時期の制御については不明であり、複製開始の制御機構の理解のために複製開始複合体の解明を本研究の課題とした。 2.新たに単離された枯草菌変異DnaA蛋白は非許容温度で不安定になり、非許容温度で急速に元の数分の一にまで減少し、その後蛋白量が回復する事が見いだされた。この現象を利用してDnaA蛋白量と細胞の染色体複製開始能力との間には直線的な平行関係があることが示された。一方、枯草菌内でDnaA蛋白量を人為的に約10倍に増加させたところ、複製開始が抑制されることが見いだされた。すなわち、DnaA蛋白は他の蛋白と相互作用しつつ機能しており、それらの因子も複製開始頻度を規定しうることが示された。 3.DnaA蛋白と共に複製制御に関与する蛋白を明らかにするため、DnaA蛋白を中核とする複製開始複合体の実体の解明を試みた。細胞を温和な条件で溶かし、しょ糖密度勾配遠心で分画したところ、DnaB蛋白は特異な沈降常数をもつ複合体として存在するが、DnaA蛋白とoriCDNAの大部分は最も軽い分画に存在することが示された。DnaA蛋白複合体は細胞周期の一定の時期のみ形成される可能性があり、その点を解析したい。 4.生化学的な解析と並行して、枯草菌dnaA変異による高温感受性を抑制する変異株を単離することにより、DnaA蛋白と相互作用する蛋白の同定を試みた。現在までに、dnaA遺伝子と異なる遺伝子中の変異により、高温感受性が抑制されている株が少なくとも1株得られており、現在その遺伝子の同定を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小笠原 直毅,他: "細菌における染色体複製開始の制御;枯草菌DnaA蛋白質の機能とその発現の制御" 蛋白質・核酸・酵素. 34. 1135-1148 (1989)
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[Publications] Fukuoka,T.,et.al,: "Purification and characterization of an initiator protein for chromosomal replication,DnaA,in Bacllus subtilis." J.Biochem.107. 732-739 (1990)
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[Publications] Moriya,S.,et.al,: "Isolation of a dnaA mutant defective in initiation of replication in Bacllus subtilis:Amount of DnaA protein determines cell's initiation potential." EMBO J.9. 2905-2910 (1990)
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[Publications] Ogasawara,N.,et.al,: "Comparative anatomy of oriC of eubacteria." In The bacterial chromosome(ed.by Rilley,M.and Drlica,D.)Am.Soc.Microbiol.287-295 (1990)
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[Publications] 小笠原 直毅: "細菌染色体の複製開始点領域の遺伝子構造ーその普遍性と特殊性" バイオサイエンスとインダストリ-. 48. 550-553 (1990)