1990 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨由来成長因子(CDF)およびその前駆体の単離・同定
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01580163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開 祐司 大阪大学, 歯学部, 助手 (40144498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 不二男 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028717)
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Keywords | 軟骨由来成長因子 / 軟骨細胞 / chondromodulinーI / 細胞分化 / 細胞増殖 / fibroblast growth factor / 細胞外基質 / 内軟骨性骨形成 |
Research Abstract |
前年度までに、培養軟骨細胞のDNA合成促進作用を指標にして、ウシ胎仔軟骨の1Mグアニジン塩酸抽出物からポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDSーPAGE)上で単一バンドを示す活性標品の精製に成功した。我々は、これをChondromodulinーI(ChMーI)と命名した。ChMーIは、SDSーPAGEによる分析から見かけの分子量約25kDaの糖蛋白質であると考えられ、気相シ-クエンサ-により、ChMーIのNー末端27残基のアミノ酸配列を明らかにした。本年度は、ChMーIのリジルエンドペプチダ-ゼ消化により得られたペプチド断片から、さらに21酸基のアミノ酸配列を明らかにした。これらのアミノ酸配列をもとにDNAプライマ-を合成し、ウシ胎仔軟骨から調制したcDNAをテンプレ-トとしてPolymerase Chain Reaction(PCR)法によりChMーIのNー末端部分をコ-ドするcDNA断片(293bp)をクロ-ニングすることに成功した。このcDNA断片をプロ-ブにしてノ-ザンブロットを行ない、ウシ骨端軟骨ポリARNA中にChMーI mRNA(約1.7kb)を同定した。興味深いことに、ChMーI mRNAの発現は軟骨組織に特異的で、他の組織では全く発現されていなかった。次に、λgt10に組み込んだウシ胎仔骨端軟骨cDNAライブラリ-をスクリ-ニングして、完全長ChMーI cDNAをクロ-ニングして塩基配列を決定した。その結果、ChMーIは、121残基のアミノ酸より成る糖蛋白質で2個のOー結合糖鎖と1個のNー結合糖鎖を有する。また、ChMーIは、335残基のアミノ酸より成る前駆蛋白質のCー末端部分として生合成され、ChMーI部分に先立つプロセシングシグナル(ArgーGluーArgーArg)部分で切断されて細胞外に分泌されるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroyuki Inoue: "Stimulation of cartilageーmatrix proteoglycan synthesis by morphologically transformed chondrocytes grown in the presence of fibroblast growth factor and transforming growth factorーbeta." J.Cell.Physiol.138. 329-337 (1989)
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[Publications] Yuji Hiraki: "Differential modulation of growth and phenotypic expression of chondrocytes in sparse and confluent cultures by growth factors in cartilage." J.Bone Min.Res.5. 1077-1085 (1990)
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[Publications] Yuji Hiraki: "Molecular cloning of a new class of cartilageーspecific matrix,chondromodulinーI,which stimulates growth of cultured chondrocytes." Biochem.Biophys.Res.Commun.(1991)
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[Publications] 開 祐司: "軟骨由来増殖制御因子(コンドロモジュリンーI)の精製、構造決定およびその前駆体遺伝子に関する研究" 興和生命科学振興財団「研究報告」(平成3年度版). 3.