1989 Fiscal Year Annual Research Report
単クロ-ン抗体による神経系超微量ガングリオシドの構造と機能の解析
Project/Area Number |
01580170
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平林 義雄 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90106435)
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Keywords | ガングリオシド / 単クロ-ン抗体 / 神経細胞 / 分化抗原 / シアル酸 |
Research Abstract |
ニワトリの初期発生段階の神経細胞と特徴的に反応する単クロ-ン抗体のなかからC-シリ-ズガングリオシド特異的に反応する抗体M6704を使い、ラット胎児脳の発達に伴うC-シリ-ズガングリオシドの分析を行った。その結果、ラット胎児脳にはM6704抗体と反応するガングリオシドはほとんど検出されなかった。しかし、ガングリオシドをあらかじめアルカリ水解しておくと、GT_3と同一Rf値を示す抗原物質が出現した。この新しいアルカリ不安定なガングリオシドはタイプC型のインフルエンザに含まれるO-アセチルエステラ-ゼによって容易に分解され、GT_3を生じる事実より、GT_3のシアル酸部分の9位がアセチル化されていることが示唆された。数多くの単クロ-ン抗体のなかから、アルカリ不安定なガングリオシドと反応する抗体が存在するか否かスクリ-ニングしてみたところ、493D4抗体がアルカリ不安定なC-シリ-ズガングリオシドと特異的に反応することを見出した。493D4抗体を使うことにより、抗原物質が魚類であるカツオの脳に比較的多く存在していることを見出したので、現在、カツオ脳2kgより精製を試みている。一方、牛脳ガングリオシドの超微量成分、GMlb、GDlαの精製、構造決定に成功し、更に、GMlbに対する特異的単クロ-ン抗体の作製にも成功した。GMlb特異抗体を利用することにより、GMlbはニワトリ、ラットの生前の脳に出現してくることが判明した。GMlb→GDlαの生合成経路は、カエルの脳(成体)で知られていたが、ホ乳類、鳥類では胎児期に出現してくることが初めて見出された。以上、神経系の発生、発達のあるステ-ジで、新しいタイプのガングリオシドが特徴的に出現してくることを見出した。
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[Publications] Yoshio Hirabayashi: "Developmentally expressed O-acetyl ganglioside GT3 in fetal rat cerebral cotex" Neuroscience letter. 106. 193-198 (1989)
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[Publications] Michio Igarashi: "Differences in lipid composition between isolated growth cones from the forebrain and those from the brainstem in the fetal rat" Brain Tes.51. 1-9 (1990)
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[Publications] Yoshio Hirabayashi: "Isolation and characterization of extremely minor gangliosides,GMlb and GDlα in adult bovine brains as developmentally regulated antigens" J.Biol.Chm.265. (1990)
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[Publications] 平林義雄: "神経の発生・分化と糖脂質" 日本農芸化学会誌. 64. (1990)
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[Publications] 平林義雄: "腫瘍脂質抗原の精製法" オンコロジア. 22. 97-100 (1989)
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[Publications] 平林義雄(分担加筆): "新生化学実験講座 第4巻 脂質、III糖脂質(酵素分解&グリコリピトセラシドデアシラ-ゼ)" 東京化学同人, (1990)