1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的に転写される反復遺伝子に結合するタンパク質の解析
Project/Area Number |
01580173
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安西 偕二郎 日本大学, 理工学部, 助教授 (30114359)
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Keywords | 脳 / 反復遺伝子 / リボ核タンパク複合体 / DNA結合タンパク |
Research Abstract |
脳で特異的に転写される反復遺伝子の機能を解析する為本年度は次の実験を行った。 (1)転写産物(BC-1 RNA)に関する解析:BC-1 RNAは主に細胞質内に存在する。存在状態について解析した結果(A)10Sのリボ核タンパク複合体(10S BC-1 RNP)を形成していた。(B)浮遊密度は1.26g/cm^3(metrizamide中)であった。(C)リボゾ-ムや他の膜系構造体とは相互作用していなかった。(D)紫外線照射によりBC-1 RNAはタンパク質と共有結合した。この事はBC-1 RNAが実際にRNPを形成している事を示している。ここで同定したRNPに含まれるタンパクについてタンパク化学及び免疫化学的解析を行なう事を予定している。その事によってBC-1 RNPの機能や構造について理解する事ができると思われる。 (2)10S BC-1 RNP中に存在する反復遺伝子結合タンパクの解析:RNP中に反復遺伝子と結合するタンパクが検出された。結合に対する競合実験等からそのタンパクは反復遺伝子内の2つのpolIIIプロモ-タ-に囲まれた部位を認識する事が解った。その部位にはGCAAG/CTTGCペンタマ-が4個繰り返している。又GCAAG/CTTGCペンタマ-結合タンパクについて上記のDNAを用いてSouthwestern blot法で解析した。その結果10S BC-1 RNP中の74Kのタンパクが結合する事が示された。以上の事は神経細胞の細胞質内に反復遺伝子自体に対する結合タンパクがそれ自身の転写産物と結合し貯蔵されている事を示している。この現象の意味は不明だが74Kタンパクが反復遺伝子の脳特異的転写に関与しているかも知れない。又10S BC-1 RNPが細胞質と核の間の何らかの信号伝達に関わる可能性もあり興味深い。現在74Kタンパクを反復遺伝子を用いたアフィニティ-カラムにより精製する事を試みている。
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[Publications] 小林俊亮,後藤佐多良,安西偕二郎: "Brain-Specific Small RNA Transcript of the ID Seguences Is Present As a 10S Ribonucleoprotein Particle" J.Biol.Chem.
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[Publications] 小林俊亮,後藤佐多良,湯本京子,安西偕二郎: "BC-1 RNA Protein Complexes Contain a Protein That Interacts with GCAAG/CTTGC Motifs Present within the ID Seguences" Molecular Brain Research.