1990 Fiscal Year Annual Research Report
NGFでリン酸化が変化する,PC12細胞中のタンパク質の分離と生理機能
Project/Area Number |
01580201
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
葛谷 博磁 藤田学園保健衛生大学, 総合医科学研究所・分子生物学研究部門, 教授 (60083424)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池亀 守 藤田学園保健衛生大学, 総合医科学研究所・分子生物学研究部門, 助手 (00176083)
藤田 興 藤田学園保健衛生大学, 総合医科学研究所・分子生物学研究部門, 講師 (90173426)
|
Keywords | PC12細胞 / 核タンパク質 / 神経成長因子(NGF) / リン酸化 |
Research Abstract |
ラット褐色細胞腫由来のクロ-ン化細胞であるPC12細胞から、神経成長因子(NGF)に応答してリン酸化が促進される分子量約30kDaの核タンパク質のアミノ酸組成、Nー末端アミノ酸配列の測定、モノクロナル抗体の作製、およびPC12細胞、ラット組識についての前記抗体による免疫細胞および組織化学的研究を行った。粗核画分を調製し、0.5N HCIでタンパク質を抽出し、終濃度25%トリクロル酢酸で沈澱後、アセトンでトリクロル酢酸を除去、風乾し、酸性/尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。泳動後、PVDF膜に転写し、CBBで染色後、アミノ酸分析を行った。Lys,Arg,Hisが約22%を、Glx,Asxが約16%をしめた。このタンパク質の等殿点は10以上である。Nー末端アミノ酸配列は、GRVIRGGAGSVHRAHVKHRKGAARLの28残基まで得られた。この配列は粘菌(Dictyostelium discoideum)のリボソ-ムタンパク質L2にかなりの相同性を有する。抗体の作製は、前記電気泳動により分離後、CBBで染色し、目的部分を切り出し、アジュヴァントと均質にし、マウスの腹腔内に注射した。抗体が生成されたのち、脾臓細胞とNSー1ミエロ-マ細胞を融合させ、抗体をクロ-ニングした。この抗体は、免疫化学的にPC12細胞、ラット上頸部交感神経節、脊髄後根神経節、および副腎髄質の各細胞を染色した。脳については現在検討中である。その他の組織では染色されなかった。これらの結果から、この核タンパク質は神経管由来細胞に特異的に発現し、細胞の基本的な性質あるいは機能に重要な役割をしているものと考えられる。
|