1989 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおけるDNA損傷結合蛋白遺伝子のクロ-ニング
Project/Area Number |
01580211
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤堂 剛 大阪大学, 医学部, 助手 (90163948)
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Keywords | DNA修復 / 紫外線損傷 / ゲル・シフト法 / DNA結合蛋白 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
ショウジョウバエ初期胚からの細胞粗抽出液中に、紫外線照射されたDNAに特異的に結合する蛋白が存在することをGel.Shift.Assey法により示した。この蛋白の諸性質について得られた結果を以下にまとめる。 1、野生株ハエの細胞抽出液を用いた場合には、Shiftする上下2本のバンドを検出した。他のDNA結合性蛋白同様、塩濃度を上げていくと、蛋白はDNAから解離し、片方のバンド(下側)は消失していくが、他のバンド(上側)は少しバンドの濃さが薄くなるのみで依然として蛋白はDNAに結合したままである。この事は、2本のバンドは1種の蛋白がモノマ-・ダイマ-で結合した結果ではなく、異なる2種の蛋白(複合体)が結合したものである事を示している。 2、結合反応中および反応後電気泳動を行う間に、蛍光燈の光を照射すると、蛋白はDNAより解離してしまう。この反応は、両方のバンドでみられるが上側のバンドで特に顕著である。この時にどのような反応が起きているのかはまだ確定していないが、光回復が起こらない黄色光の下ではこの現象はみられない事から、光回復酵素がこのDNA蛋白複合体に関与している事が解る。 3、いくつかのDNA修復欠損株の抽出液を用いたところ、除去修復能に欠損を持つmus201,phr,mus308変異株では下側のバンドが消失し複製後修復に欠損を持つ異変株mus104では逆に上側のバンドが消失した。 以上の結果から、紫外線照射DNAに特異的に結合する蛋白が少なくとも4種類存在する事が解った。紫外線照射DNAを用いたアフィニテイカラムクロマトグラフィにより、これらの蛋白を部分精製する事ができた。今後さらに精製をすすめ、アミノ酸配列を決定する事により、これらの蛋白をコ-ドしている遺伝子のクロ-ニングを行いたい。
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Research Products
(1 results)