1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580212
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 寛 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (60116663)
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Keywords | ラット胎仔 / 放射線被曝 / 奇形発生 / 熱ショック蛋白 / プロトオンコジン / 心内膜床細胞 / 二次元電気泳動 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
昨年度迄の研究で核分裂中性子やコバルト60などの放射線に被曝したラット胎仔の異常発生過程で急性症状の消退した被曝後5日目頃から熱ショック蛋白やC-fos、C-mycなどのプロトオンコジンが非被曝の対照に比べて増加していることを二次元電気泳動を用いて確かめてきた。今回はこれらの蛋白質や前癌遺伝子の局在や消長を求める研究の一環として免疫組織化学的手法を用いて検討した。即ち妊娠8日目ラット母体にカリフォルニウム252、60rad又はコバルト60、200rad照射して5日後の妊娠13日目に胎仔を摘出し72KD熱ショック蛋白及びC-mycオンコプロティンのモノクロナ-ル抗体を用いDAB銀染色法によって免疫染色を行なった。これ迄の実験で妊娠8日目は心臓異常発生の感受期に相当することが判明しているので主として胎仔心の検索を行なった。 免疫染色の結果は熱ショック蛋白の発現は心筋細胞では殆んど認められず一部の心内膜床細胞の主として核周囲に認められた。心内膜上皮や心内膜床の生理的細胞死巣には認められなかった。C-mycオンコプロテインも同様に心筋細胞には見出し難く心内膜床細胞の一部に極くわずかにみられた。対照群には発現量が少いか、或は発現時間が短く、不安定のためか認められなかった。以上の結果から心臓の正常発生過程では中隔や弁の形成にあずかる心内膜床細胞が異常発生においても重要な役割を演じていることが示唆された。今後更に経時的な局在と異常発生との関連を追及する必要があると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Satow,Y.Hori,H.et al.: "Teratogenic effects of fission neutron and tritium water on rat embryo." J.of Univ.of Occupational and Environmental Health. 11. 416-431 (1989)
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[Publications] Satow,Y.et al.: "Teratogenic effects of Californium-252 irradiation in rats" J.Radiation Res.30. 155-163 (1989)
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[Publications] Higo,H.et al.: "Effects of exposing rat embryos in utero to physical or chemical teratogens are expressed later as enhanced induction of hed shock protein" teratogenesis,Carcinogenesis,and Mutagenesis. 8. 315-328 (1988)
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[Publications] Higo,H.et al: "Elevated expression of proto-oncogenes accompany enhanced induction of heat-shock genes after exposure of rat embryos to irradiation" Teratogenesis,Carcinogenesis,and Mutagenesis. 9. 191-198 (1989)
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[Publications] 佐藤幸男ら: "催奇形性効果を指標とした核分裂中性子の生物学的効果比" 広島医学. 41. 366-370 (1988)