1990 Fiscal Year Annual Research Report
新原爆線量評価システム(DS86)の再検討ー被爆試料の収集と測定ー
Project/Area Number |
01580213
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (50099090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 昭三 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (60034625)
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Keywords | 広島原爆 / DS86 / 原爆線量 / 被爆試料 / 中性子 / 誘導放射能 |
Research Abstract |
平成2年度は、元年度に引き続いて、被爆試料の採取と試料の整理保管を実施した。また試料の化学分離の方法の改善と測定および放射化分析の実験を行った。試料採取に関しては、(1)広島信用金庫横川支店の花崗岩(爆心から1680m)、(2)日赤病院のコンクリ-ト(爆心から1480m)、(3)観音橋親柱(爆心から1620m)、(4)旧県庁の花崗岩(爆心から840m)を採取し保管した。これで試料採取はほぼ終えた。被爆試料はまず粉砕し微粉末とし、γ線測定用のGe検出器で測定する。これらの試料のうち比較的近距離のものについては、粉末のままで測定し、 ^<152>Enの122KeVのガンマ線のピ-クを検出し強度を決定している。遠距離のものについては、濃縮の操作が必要であり、NaOHにより溶解し分離する方法を検討している。放射化分析は、近畿大学の原子炉で熱中性子の照射を行ってきたが、最近広島大学原医研の ^<252>Cf中性子をナイロン(厚さ5cm)に透過し、熱中性子に変換し放射化分析に使用している。約1日の照射で安定Eu量を決定できる。3年次から開始する予定であった、コンピュ-タによるデ-タ解析の作業は本年次から開始した。コ-ドは米国ロスアラモス国立研究所で開発されたMonte Carlo Newtron and Photon Transport Code System(MCNP)を使っている。このコ-ドはDS86の研究が進められていた際には、原爆のリ-ススペクトルを計算するために用いられた。ここでは、原爆の鉄材の透過、空気中の透過、地上に達し土に入射し ^<152>Euの生成を計算している。またこのMCNPを検証する意味で、広島大学原医研の ^<252>Cf中性子線源を用いたベンチマ-クテストを行った。25cm×25cm×65cmの大きさの減速材料(ポリエチレン、水、岩崗岩、NH_4Cl)に中性子を入射し、5cm間隔でおいた、熱および速中性子の検出箔(Au,Ni)により2種類のエネルギ-の中性子を測定した。生成したそれぞれの箔内での放射能 ^<198>Au, ^<58,58m>Coの測定値と、MCNPで求めた計算値とが一致するかどうか比較検討を進めている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M.Hoshi,et al.: "Europiumー152 Activity Induced by Hiroshima Atomic Bomb Neutrons:Comparison with the 32p, ^<60>Co and ^<152>Eu Activities in Dosimetry System 1986 (DS86)" Health Physics. 57. 831-837 (1989)
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[Publications] M.Hoshi,et al.: "Thermoluminescence Dosimetry of Gammaーrays from the Hiroshima Atomic Bomb at Distances 1.91ー2.05 km from the Hypocenter" Health Physics. 57. 1003-1008 (1989)
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[Publications] K.Shizuma,et al.: "Fallout in the Hypocenter Area of the Hiroshima Atomic Bomb" Health Physics. 57. 1013-1016 (1989)
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[Publications] 安渕 四郎他: "プラスチック飛跡検出器TS16Nによる極低出力原子炉内速中性子ドシメトリ" Radioisotopes. 38. 359-365 (1989)
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[Publications] S.Antoku,et al.: "Dental Radiography Exposure of the Hiroshima and Nagasaki Populations" Oral Surgery,Oral Medicine,Oral Pathology. 67. 354-360 (1989)
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[Publications] T.Straume,et al.: "Use of Accelerator Mass Spectrometry in the Dosimetry of Hiroshima Neutrons" Nucl.Instrum.Methods in Phys.Res.B. B52. 552-556 (1990)
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[Publications] 葉佐井 博巳: "広島原爆の残留放射能の測定による原爆中性子線量の再評価" マツダ財団, 221-229 (1989)
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[Publications] DS86翻訳事業会: "原爆線量再評価" 産興株式会社, 478 (1989)