1990 Fiscal Year Annual Research Report
光生成物の作用スペクトル(50〜300nm)測定による光学的近似の検討
Project/Area Number |
01580216
|
Research Institution | Rikkyo University. |
Principal Investigator |
桧枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
|
Keywords | 真空紫外線 / オリゴヌクレオチド / チミン / 放射線損傷 / 光学的近似 / シンクロトロン放射 |
Research Abstract |
1.チミジリルーチミジン(dTpdT)に関して、本年度の研究実施計画に記載した遠紫外線(300ー200nm)、真空紫外線(190ー50nm)および ^<60>Coγ線に加えて、超軟X線(〜8nm)ならびに軟X線(〜0.5nm)についても実験を行ない、きわめて広い波長範囲にわたって生成物の分析を行なった。得られた主要な結果を、以下にまとめる。 ピリミジンダイマ-と(6ー4)フォトプロダクトは、260nmで最もよく生成され、200nmより波長が短くなるにつれ生成は減少し、150nmより短波長域では検出限界以下になった。これらの結果から上記2種のジピリミジン生成物は、遠紫外線領域の特徴的な光生成物であることが判明した。 210nm以下の単色光を照射すると、 ^<60>Coγ線にいたるまで、主要な生成物は、デオキシリボ-スの分解によって生成される、チミン(T)、5'ーdTMP、3'ーdTMPの3種に限定された。これら3種の光分解生成物は、210nmでもジピリミジン生成物より生成され易く、短波長に向けて80nmまで生成率は急速に上昇した。軟X線領域で、リンK殻電離とそれにともなうオ-ジェ過程の照射効果調べたが、特徴的な効果は見つからなかった。全波長域で、3'ーdTMPは5'ーdTMPの2倍生成されたので、5'側にリン酸基を持たない糖が分解され易いことが示された。以上の結果から、6eV(200nm)程度より高いエネルギ-がdTpdT分子のどこに付与されても、デオキシリボ-スが選択的に分解され、光子エネルギ-依存性はほとんどないという結論に達した。 2.チミンオリゴヌクレオチド、(pdTpdT)_n、に関しては、本年度は、n=2、5、10について予備的実験を行なった。得られた結果は、dTpdTと基本的には類似していた。
|