1989 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンTn3のコ-ドするトランスポゼ-スの性質と転移の分子機構の解明
Project/Area Number |
01580250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 栄一 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10158800)
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Keywords | トランスポゾン / トランスポゼ-ス / 末端逆向き配列 / DNA組換え / DNA転移機構 / Tn3 |
Research Abstract |
バクテリアのアンピシリン耐性トランスポゾンTn3(4957塩基対)は、トランスポゼ-スをコ-ドし、自分自身の転移を促す。本研究の目的は、Tn3のトランスポゼ-スを精製し、(1)Tn3の両端にある38塩基対からなる末端逆向き配列(IR)DNAとの結合様式を明らかにすると共に、(2)Tn3転移反応に於いてトランスポゼ-スと協同して働く宿主ファクタ-を探ることである。この目的に対して以下の結果を得た。 1.トランスポゼ-スとIR DNAとの結合。異なる変異を持つ種々のIR DNAを持つプラスミドを作製し、それらのDNAの断片をフィルタ-・バインディング・アッセイとDNase Iフットプリント法によってトランスポゼ-スとの結合を解析したところ、IRには二つの領域、即ちトランスポゼ-スが結合する領域と結合しない領域、が存在することを明らかにした。また、変異IRを持つTn3誘導体の転移活性を調べたところIR内の転移に必須の部位は、トランスポゼ-スが結合する、しないに関わらず全域にあることも明らかにした。更に、組換え現象にHUやIHF等の蛋白質が関与していることが示唆されていることから、Tn3の転移においてもこれらのが関与しているかどうかを、HUタンパク質を欠損している菌株において調べたところ、Tn3は転移することが分かった。 2.Tn3転移に必要な宿主ファクタ-。Tn3を運ぶミニ・プラスミドをdonorとし、ラムダ・ファ-ジDNAをrecipientとして、大腸菌のcell extract(フラクションII)中に精製したトランスポゼ-スを加え、ファ-ジDNAをpackagingした後、転移生成物を調べたところ、Tn3の転移にDNA合成は必須であるが、RNA及びタンパク質合成は必須でないことを明らかにした。
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[Publications] H.Ichikawa: "Two domains in the terminal inverted repeat sequence of transposon Tn3." Gene. 86. 11-17 (1990)
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[Publications] J.Amemura: "Transposition inmunity of Tn3 is conterred by the transposase binding in the terminal inverted repeat sequenses of Tn3" Gene. (1990)
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[Publications] 大坪栄一(松原謙一編): "岩波講座ー分子生物科学2,遺伝子と遺伝の情報II,3.動く遺伝子,原核生物" 岩波書店, 26 (1989)