1989 Fiscal Year Annual Research Report
新しい大腸菌リボソ-ム蛋白質の発見と増殖段階移行に伴うリボソ-ム構造の変動の研究
Project/Area Number |
01580255
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 明 京都大学, 理学部, 助手 (80025387)
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Keywords | リボソ-ム / リボソ-ム蛋白質 / 二次元電気泳動法 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
我々は塩基性蛋白質とりわけリボソ-ム蛋白質に対してきわめて高い分離能をもつRFHR電気泳動法を開発し、これによって大腸菌のリボソ-ムから5種の新しい蛋白成分(ABCDおよびE)を発見した。この中、アミノ酸配列と遺伝子解析を終えたA、B両蛋白質は、その後の研究で他の生物種においても見出され、広汎な生物種普遍性をもつことが明らかになったことから、リボソ-ム蛋白質として統一命名法にもとづいて夫々L35、L36と命名されることになった。リボソ-ム蛋白質が新らたに追加されたのは1970年に統一余名法が確率して以来はじそてのことである。残るC、DおよびE蛋白質についてもアミノ酸配列を解析し、遺伝子探索を行った結果、Dは染色体上33分に、Eは22分に遺伝子が見出された。Dの塩基配列の解析は間もなく完了する。又CはL31蛋白質の前駆体であることもわかった。これによって新しいリボソ-ム蛋白質の遺伝子位置を全て決定することができた。次いで細胞の増殖期移行に伴う70Sリボソ-ムのダイマ-化(100S形成)とE蛋白質の時間変化の詳細な解析を行った。その結果100SとEの出現と消滅は並行しており、しかもEは100Sにのみ存在し、70Sや50Sには存在しないことが明らかとなった。又100SとEのモル比が1対1であることからEが100S形成に関与することがつよく示唆された。我々はEを“ribosome modulation factor"と名付け、リボソ-ム顆粒ダイマ-化することによって蛋白合成能を休止させる機能をもつと考えている。以上の結果はPro.N.A.S.誌上に発表される予定である。
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