1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01580256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 宏子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60184769)
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Keywords | HL-60 / 分化 / カルシウムイオン / イノシト-ルリン脂質 |
Research Abstract |
(1)HL-60株細胞はDMSOやレチノ-ル酸などの処理により分化し、各種の刺激に応答するようになることが知られている。そこでまずこれらの分化誘導物質による処理で形態とPI代謝がどのように変化するか調べた。DMSOは1.3%、レチノ-ル酸は0.2μMで4日間処理した。形態は未処理の細胞は丸く表面がなめらかであったが、分化誘導物質処理により形がくずれて表面に突起様のものが認められるようになった。PI代謝は^<32>Pラベルした無機リン酸を細胞内に取り込ませることによって分析した。その結果DMSO処理によりイノシト-ルリン脂質、特にPIへの^<32>Pの取り込みが低下した。このことはPI代謝酵素、特にPAからPIを生成する酵素の活性の低下を示している。 PIP_2の定量を抗体で行う方法は現在検討しているところである。 (2)分化させたHL-60細胞をfMLPで刺激した場合の細胞内のCa濃度の変化とチャンネルの開閉の測定を行った。Ca濃度の測定はCa指示薬fura-2を5μM取り込ませ、顕微測光システムによって行った。その結果刺激直後に急激なCa濃度の上昇が見られ、一度元に戻ってから緩やかな上昇をするという二相性を示した。チャンネルの開閉はホ-ルセラルクランプ法で行った。fMLP投与後内向き電流が観測されたが、これはCa電流と考えられるので、Ca濃度上昇との関連を今後調べる。 これらの実験の過程で分化誘導物質で処理する前の細胞においても、fMLPで応答がみられる場合があった。これは細胞の培養液に用いる血清に分化誘導物質が含まれる可能性も考えられるので検討している。
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