1989 Fiscal Year Annual Research Report
避難行動を考慮した洪水・土石流・土砂流等の氾濫による人命の危険度評価モデル
Project/Area Number |
01601522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助手 (80144393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 保 京都大学, 防災研究所, 教授 (40027230)
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Keywords | 泥流 / 洪水氾濫 / 避難 / シミュレ-ション / ソフト対策 / 人命 / 被害 |
Research Abstract |
本研究においては、洪水氾濫に関しては前年度の成果を用いて巨椋流域を対象とした避難システムの構築と、種々の避難条件のもとでの人的被害の予測を行った。すなわち、二次元平面流れの解析に基づいて氾濫水の挙動をシミュレ-トし、それと同時に、対象とする流域内に避難経路、交差点および避難地からなる避難ネットワ-ク上での住民の避難行動のシミュレ-ションを実行して、氾濫水の動態を考慮した避難システムについて検討を行った。その結果、本手法により住民の避難行動を考慮した人的被害の予測が可能であることが判明した。 ついで、泥流を対象とした避難システムについて検討した。ここでは大正15年の北海道十勝岳の噴火に伴って発生した泥流により、多くの犠牲者を出した上富良野町を対象とした。まず、上富良野町における十勝岳噴火の泥流対策について、ハ-ド及びソフト対策の現状を検討した。ついで、指定避難地資料をもとに上富良野町内に避難ネットワ-クを構築し、住民の避難シミュレ-ションを行った。泥流の中を避難することを想定するのは実際的でないと思われるので、泥流の氾濫計算と避難のシミュレ-ションとをリンクした計算は行わないものとした。したがって、住民の避難行動のシミュレ-ションでは、洪水氾濫の場合と同様、疲労と群集流動による歩行速度の低下を考慮し、避難行動は避難地までの最短経路選択問題に定式化し、Warshall-Floyd法を用いてこれを解いた。その際、上富良野町では冬季路上に積雪があると思われることからラッセル深に応じた初期歩行速度を与えた。泥流の氾濫計算では、泥流のハイドログラフおよび泥流の流入境界位置を種々変化させた計算を行い、土砂堆積厚、流動深および泥流の流体力の値をもとに、避難地自身の安全性について検討された。その結果、本手法にのよって泥流を対象とした避難システムの評価がある程度可能であることが判明した。
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