1989 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性有機ハロゲン化合物の環境中での挙動解析と防除
Project/Area Number |
01602008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富永 健 東京大学, 理学部, 教授 (50011531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50027885)
浦野 紘平 横浜国立大学, 工学部, 教授 (60018009)
松野 太郎 東京大学, 理学部, 教授 (40037172)
秋元 肇 国立公害研究所, 部長 (50101043)
飯田 芳男 成蹊大学, 工学部, 教授 (10054264)
|
Keywords | 有機ハロゲン化合物 / フロン / 成層圏オゾン / リスク評価 / 光化学反応 / 活性炭 / ナフタレニド / 解媒 |
Research Abstract |
本研究は、成層圏オゾン層破壊の原因となる長寿命のフロンなどと、地域的に大気や水系の汚染に関わる短寿命のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなでの、2つのグループの有機ハロゲン化合物について大気中濃度の分析、大気中の化学反応、予測モデルの開発および回収・防除技術の開発という一貫した流れに沿って総合的な研究を進めたものであり、このような広い専門分野間にわたる学際的研究協力は従来例が少ない。上記各分野における実績とともに有機ハロゲン化合物の環境中での挙動の全体像の理解を深める上で大きな成果をあげた。まず都市域におけるハロカーボンの大気中濃度を迅速あるいは高感度で測定する装置を完成し、実際に濃度変動をしらべた。フロンなど成層圏オゾン層破壊物質の大気中平均濃度については、南北両半球における経年変化を測定し、また大気球を用いたサンプリングで成層圏における濃度分布を明らかにするなど、オゾン層への影響および地球温暖化への寄与を評価するためにきわめて重要なデータが得られており、わが国における代表的な成果として高く評価されている。化学物質汚染の管理にあたり重要なリスク評価のためのモデルを開発し、重回帰モデルで濃度のオーダーは予測できることを示した。大型光化学チャンバーを用いて対流圏および成層圏における大気化学のシミュレーション実験を行い、短寿命ハロカーボンの対流圏光酸化過程および長寿命フロンの成層圏オゾン破壊過程を研究した。防除技術については、活性炭吸着法による有機ハロゲン化合物の除去・回収システムの最適化や、ナフタレニド法による脱塩素処理法の開発、接触分解燃焼処理法の開発などに注目すべき成果を収めた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 富永健: "フロンによる成層圏オゾン破壊" 化学工業. 40. 571-574 (1989)
-
[Publications] 富永健: "クロロフルオロカーボン成層圏オゾン" 科学. 59. 602-609 (1989)
-
[Publications] Akira Oku: "Complete Destruction of Chlorofluorocarbons by Reductive Dehalogenation Using Sodium Naphthalenide" Ind.Eng.Chem.Res.28. 1055-1059 (1989)
-
[Publications] 今村成一郎,池田勉,石田信ご: "1,2ージクロロエタンの多段式接触燃焼処理法" 日化. 139-144 (1989)
-
[Publications] Seiichiro Imamura: "Decomposition of 1,2-Dichloroethane on Tio_2/Sio_2" Ind.Eng.Chem.Res.28. 1449-1452 (1989)
-
[Publications] 富永健・巻出義紘・F.S.ローランド: "フロンー地球を蝕む物質" 東京大学出版会, 160 (1990)