1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01602518
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 照男 岡山大学, 工学部, 教授 (60032918)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊永 隆史 岡山大学, 工学部, 助手 (30124788)
|
Keywords | 先端技術産業 / 有機金属化合物 / 循環 / 制御 / 水銀 / スズ / CVDプロセス / IC |
Research Abstract |
先端技術分野で使用頻度が著しく高まっている有機金属化合物の環境中での循環と制御については、研究代表者らが過去5年間にわたり実施してきた調査的研究の成果をもとにして研究を進めた。本研究では、従来からの調査をさらに継続するとともに、環境科学の立場から実験的かつシステム的に研究を展開することを目的として予備検討を行った。 本年度の研究成果として、先端技術産業では大学・研究機関・医療業や都市圏等と同様に多種少量の排出特性に即応した発生源対応型の複雑な処理プロセスが不可欠で、それらのシステム化、最適化が大きな課題となりつつあること、および人為起源の化学物質の中では利用範囲が大きく拡大した有機金属化合物に注目する必要があり、毒性の強い有機金属化合物が環境中へ廃棄された場合や無機金属が有機化反応により有機金属化合物に変換された場合の問題点などを速やかに指摘しなければならない時期にきていることが明らかになった。特に、環境中での有機金属化合物の循環、生成、制御に着目して、1000件以上にのぼる既往文献の調査・整理を試みた結果、水銀、鉛、スズ、ヒ素等の有機金属化合物に関し100ペ-ジを越えるレビュ-論文をまとめることができたことは、今後本研究を進展させるうえで大変有意義であった。 実験的研究の予備検討では、先端技術産業で使用・廃棄される可能性がある有機金属化合物の実態調査を行ったところ、IC工場のCVDプロセスで近年多用されるようになった金属水銀含有ガスが注目に値することを認めた。CVD基板への水銀蒸着とCVDプロセスの進行に伴う水銀有機化の反応機構などを解明する必要があるとの認識をもとに、反応条件を正確に制御可能なフロ-インジェクション法による分析手法を導入、特に気相での有機金属化反応をモデル実験により解析するため、本年度はまず実験装置の開発と製作について具体的検討を行った。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 伊永隆史,高橋照男: "先端技術開発に伴う廃水処理、再資源化等に関する調査報告" 環境科学会誌. 2. 161-163 (1989)
-
[Publications] 伊永隆史,高橋照男 外3名: "フェント法による写真廃液の酸化分解" 水質汚濁研究. 12. 233-238 (1989)
-
[Publications] 伊永隆史: "先端技術産業における廃水問題" 環境技術. 18. 439-444 (1989)
-
[Publications] 伊永隆史,高橋照男 外3名: "フェントン法によるカコジル酸の酸化分解と廃液処理への応用" 水質汚濁研究. 12. 736-740 (1989)
-
[Publications] 伊永隆史,高橋照男 外3名: "フロ-インジェクション分析法による排ガス中の全硫黄酸化物の連続測定" 分析化学. 39. T29-T34 (1990)
-
[Publications] 伊沢美代子,伊永隆史,高橋照男: "抽出分離/原子吸光法による無機ヒ素化合物及びジメチルアルシン酸混合液中の無機ヒ素の定量" 分析化学. 39. (1990)
-
[Publications] 伊永隆史 外11名: "図説 フロ-インジェクション分析法 ラボ・オ-トメ-ション基礎と実験" 廣川書店, 271 (1989)
-
[Publications] 伊永隆史,伊沢美代子,原口紘〓: "有機金属化合物の環境中での循環・生成・制御" 産業用水調査会, (1990)