1989 Fiscal Year Annual Research Report
生体機能性ファイン材料の創成・生体との相互作用及び臨床応用
Project/Area Number |
01604019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青野 正男 九州大学, 歯学部, 教授 (70037498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 武宏 日本電気硝子株式会社, 結晶化ガラス開発室, 室長
松井 昌 東日学園大学, 歯学部, 教授
前田 勝正 九州大学, 歯学部, 助教授 (00117243)
赤峰 昭文 九州大学, 歯学部, 講師 (00117053)
原 宜興 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60159100)
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Keywords | 結晶化ガラス / ハイドロキシアパタイト / βーTCP / 石灰化 / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
1.研究目的 骨原性細胞株MC3T3ーE1のアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を指標として、生体新素材である結晶化ガラス周囲(GC)の石灰化をハイドロキシアパタイト(HAP)、βーtricalcium phosphate(TCP)と比較した。また、GCの教育用模型歯、鋳造用歯冠、人工歯根について検討した。 2.研究成果: 1)径60mmディッシュに各骨移植材を静置し、次に細胞を播種して31日間培養した。また対照として細胞だけの培養を行った。培養期間中、適宜各群のALPとvonーKossaの二重染色を行った。 その結果、対照群では31日間で最初にvonーKossa陽性反応が見られた。GC群では、8日目でALPの増加と顆粒周囲での石灰化が観察された。21日目以降は、ALPは顆粒から離れた部位に集合する傾向にあった。HAP群で、GCと同じ大きさの顆粒周囲での石灰化は31日目で最初に見られた。TCP群では、14日目以降に石灰化が観察された。21日目以降は、溶出した微細な顆粒周囲をケーブル状にALP陽性細胞集積像が観察された。以上の結果より、GCは骨移植材に必要とされる良好な石灰能を有していると考えられた。 2)PreclinicalーTraining Systemに使用するGC模型歯Bioram Mとコンポジットレジン歯との比較では、エアータービンの切削に適しており、学生実習への有用性は高いが、硬度、色調、構造は改良の余地があると考えられた。鋳造用結晶化ガラス(Bioram C)のカラーリンクシステムでは、ビタシェード(AーC系統)の再現が近似していた。 また、結晶化ガラス人工歯根Bioraをラットの皮下に埋入し、10日から24ケ月の間観察したところ、腫瘍性病変や前腫瘍性病変は観察されなかった。
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[Publications] 青野正男,原宜興,赤峰昭文,前田勝正,作花済夫,松井昌: "生体機能性ファイン材料の創成・生体との相互作用及び臨床応用" 文部省重点領域研究「新しい機能性材料の設計・作製・物性制御」昭和63年度研究成果報告書. (1989)
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[Publications] 吉本由紀子,原宜興,安部達也,赤峰昭文,前田勝正,青野正男: "結晶化ガラスに関する基礎研究 1.位相差顕微鏡による培養細胞の形態学的観察および細胞増殖について" 日歯周誌. 31. 640-650 (1989)
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[Publications] 原宜興,吉本由紀子,安部達也,赤峰昭文,前田勝正,青野正男: "結晶化ガラスに関する基礎研究 2.培養細胞と結晶化ガラスとの界面における超微形態的観察" 日歯周誌. 31. 651-657 (1989)
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[Publications] 吉本由紀子,原宜興,安部達也,宮武祥子,赤峰昭文,前田勝正,青野正男: "結晶化ガラスに関する基礎研究 3.in vitroにおける骨系細胞の初期石灰化に与える影響" 日歯周誌. 31(5). (1990)
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[Publications] 松井昌: "Bioramicsの場における生体機能ガラスセラミックスの開発研究 I.特に歯学的応用への展開" The Quintessence. 7. 421-626 (1988)
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[Publications] 青野正男,原宜興,吉本由紀子,安部達也: "Bioramicsの場における生体機能ガラスセラミックスの開発研究 培養細胞の増殖と培養細胞と生体活性結晶化ガラス界面(CaOーP_2O_5ーMgOーSiO_2ーCaF系結晶化ガラス)の超微構造" The Quintessence. 8. 793-800 (1989)