1989 Fiscal Year Annual Research Report
新合金理論に基づく鉄基オ-ステナイト合金の耐熱・耐食機能設計
Project/Area Number |
01604553
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
湯川 夏夫 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (00023036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 尚和 豊橋技術科学大学, 工作センター, 助手 (80160357)
森永 正彦 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50126950)
川上 正博 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30016597)
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Keywords | 合金設計 / 耐熱合金 / 鉄基合金 / オ-ステナイト合金 |
Research Abstract |
この研究では、合金効果を反映する二つのパラ-メ-タ-を用いて鉄基オ-ステナイト合金の耐熱・耐食機能設計を行った。その2つのパラメ-タとは、分子軌道計算によって得た、原子間の結合力を表す結合次数(Bo)と、d軌道レベル(Md)である。多成分合金では、次式のようにそれぞれ組成平均をとってMdおよびBoと定義する。 Md=ΣX_i・(Md)_i・・・(1) Bo=ΣX_i・(Bo)_i・・・(2) ここで、x_iは合金元素の原子率、(Md)、(Bo)_iは各合金元素のMd、Bo値である。ステンレス鋼、耐食合金、耐熱鋼などのオ-ステナイト(fcc)合金では、その機能維持のためオ-ステナイト相の安定性が重要視される。上述の二つのバラメ-タを用いて、種々の合金の実験デ-タを整理して、従来のシェフラ-図に代わって、オ-ステナイト鋼の相安定性を正確に示す相安定性指標図(Md-Bo図)を作製した。この相安定性指標図を基に、核融合炉用の低放射化鋼のコンピュ-タ-援用設計を行った。この設計では、316ステンレス鋼やPCA合金の相安定性に匹敵する合金を選択することとし、まず、σ相析出の観点で316鋼に匹敵すると考えられる高マンガンオ-ステナイト鋼の設計を行った。その設計組成範囲は2%Ni、0.1%C、0.2&N5〜16%Cr、10〜30%Mnである。Cr量を耐食性の観点から12%必要であるとして、Md=0.90で抽出した結果、有望合金として、Fe-12Cr-18Mn-0.9Ni-0.1C-0.3N(wt%)とFe-12Cr-23Mn-2Ni-0.1C-0.2Nの2種を得た。さらに、これら合金について誘導放射能の減衰を核変換の法則に基づいて、シミュレ-トした結果、これら2種の合金はいずれもFc-18Cr-8Ni(sus304)合金よりも誘導放射能が低く(100年後で10^<-4>Ci/g以下)、核融合炉材料として有望であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Yukawa,M.Morinaga,K.Nishiyama,Y.Matsumoto,Y.Murata,H.Ezaki: "Design of Low Activation Austenite Steels by the d-Electron Concept" Reduced Activation Materials for Fusion Reactors ASTM STP 1047. 30-46 (1989)
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[Publications] Y.Murata,K.Koyama,Y.Matsumoto,M.Morinaga,M.Yukawa: "Equilibrium Phase Diagram of Fe-Cr-Mn Ternary System" ISIJ International. 30. (1990)