1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01605009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安場 保吉 大阪大学, 経済学部, 教授 (80028034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野沢 純 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10169344)
猪口 邦子 上智大学, 法学部, 助教授 (40138376)
小浪 充 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10014424)
南 亮進 一橋大学, 経済学部, 教授 (80017657)
香西 泰 日本経済研究センター, 理事長 (00143678)
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Keywords | アジア / 経済発展 / 教育 / 技術進歩 / 所得分配 / 直接投資 / 社会的能力 / ODA |
Research Abstract |
本年度は二回の研究会を行い、書物出版のためのまとめをした。全体としての題は『アジア経済発展の社会的要因』とし各研究分担者がそれぞれ一章を執筆した。 まず、小浪は『中国の経済発展と政治・社会発展ー枠組設定への試みー』と題する論文で後発国の政治・社会的発展を序説的に定式化した。次に安場は東アジア地域の急速な台頭に注意を喚起するとともに、発展の諸要因を分析して東アジアの将来を占った。そして東アジアの発展は開放政策によるところが大きいとしながらも、それだけでは全体の説明はできず、教育その他を通じての人的能力の向上が重要であると指摘した。また香西はアジアの所得分布が比較的平等であることを見出し、この特徴がどのような要因に基づくかを考察した。そして発展の初期条件としての農業の形態、経済発展のパターン、社会的要因の三者を析出した。南は自動車産業を手がかりにして中国工業の技術進歩率を測定した。そして結論的には技術進歩が遅いのは技術移転を吸収する『社会的能力』が欠けているためだとした。小野沢はアジアの発展途上国による海外直接投資が盛んに行われていることを指摘し、その背景・効果を分析した。これらの投資は零細かつ労働集約的であり、受入国の国情に適合しているというのが結論である。最後に猪口は日本のODAについての現地調査に基づく分析を行い、人間個人のレベルの不幸を救済するマンツーマン的な援助理念としてのBHN(人間の基本的なニーズ)に対応するものとしてそのような不幸を共同体的なレベルで救済するBSN(共同体的基本ニーズ)型援助の問題と可能性について考察した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 小浪充: "「秩序ある自由化のための試論ー政治・経済発展モデルからのアプローチ」" 世界経済. 44. 11-25 (1989)
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[Publications] 小野沢純: "マレーシア新経済政策(1971ー1990)形式の背景とエスニシティ問題" 東京外国語大学論集. 4. 139-158 (1989)
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[Publications] Yasukichi Yasuda: "ASEAN Countries:Background and Prospect" Osaka Economic Papers. 38. 73-85 (1989)
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[Publications] 香西泰: "安場保吉・猪木武徳編『高度成長』(日本経済史8)" 高度成長期の経済政策, 1989
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[Publications] 香西泰: "中村隆英編『「計画化」と「民主化」』(日本経済史7)" 高度成長への出発, 1989
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[Publications] 南亮進: "中国の経済発展:日本との比較" 東洋経済, 1990
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[Publications] 猪口邦子: "戦争と平和" 東京大学出版会, 304 (1989)
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[Publications] 安場保吉(猪木武徳と共編): "高度成長(日本経済史8)" 岩波書店, 309 (1989)