1989 Fiscal Year Annual Research Report
発がん促進物質によるアラキドン酸代謝亢進機序解明に関する研究
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01614502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平沢 典保 東北大学, 薬学部, 助手 (80181155)
渡辺 雅子 東北大学, 薬学部, 助手 (90182948)
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Keywords | 発がん促進物質 / アラキドン酸 / プロスタグランディン / 肥満細胞 / マクロファ-ジ / 脱顆粒反応 / タンパク質合成 |
Research Abstract |
(1)発がん促進物質による肥満細胞に対する脱顆粒促進作用と、アラキドン酸代謝亢進作用との間に何らかの関連が有るかどうか解明する目的で、単独で顕著な脱顆粒促進作用を誘発するnon-TPA typeの発がん促進物質であるthapsigarginについて、肥満細胞においてもアラキドン酸代謝を亢進するかどうか検討し、さらに各種のアラキドン酸代謝阻害剤により、thapsigarginによる脱顆粒反応が阻害されるかどうか検討した。その結果、thapsigarginは肥満細胞においても極めて微量でアラキドン酸代謝を亢進させる作用があることが判明した。しかし、このアラキドン酸代謝亢進の経時変化とヒスタミン放出の経時変化とは一致せず、また、ヒスタミン放出を誘発させない濃度においてもthapsigarginはアラキドン酸代謝亢進を引き起こすこと、さらにcyclooxygenase阻害剤やlipoxygenase阻害剤により、アラキドン酸代謝を抑制しても脱顆粒反応は全く抑制されなかった。従って、発がん促進物質の持つアラキドン酸代謝亢進作用機序と肥満細胞の脱顆粒機序とは本質的に異なることが示された。 (2)TPA typeの発がん促進物質とnon-TPA typeの発がん促進物質によるアラキドン酸代謝亢進作用は、タンパク質合成阻害剤により抑制されるため、発がん促進物質によるアラキドン酸代謝亢進作用発現には何らかのタンパク質の合成誘導が関与している可能性がある。そこで発がん促進物質により合成誘導されるタンパク質の検索を行い、その中から両typeの発がん促進物質に共通して合成誘導されるタンパク質の検索を行った。その結果、ラット腹腔マクロファ-ジにおいて、分子量120kDaと125kDaの特異的タンパク質が両typeの発がん促進物質に共通して合成誘導されることが明らかになった。しかも、これらのタンパク質の合成誘導はアラキドン酸代謝亢進の経時変化とよく一致した。今後、これらのタンパク質の実体について解明する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohuchi,K.et al.: "Stimulation of histamine release and arachidonic acid metabolism in rat peritoneal mast cells by thapsigargin,a non-TPA-type tumor promoter." Biochim.Biophys.Acta. 1003. 9-14 (1989)
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[Publications] Ohuchi,K.et al.: "Okdaic acid and dinophysistoxin-1,non-TPA-type tumor promoters,stimulate prostaglandin E_2 produciton in rat peritoneal macrophages." Biochim.Biophys.Acta. 1013. 86-91 (1989)
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[Publications] Ohuchi,K.et al.: "Dual effects of staurosporine on arachidonic acid metabolism in rat peritoneal macrophages" Biochim.Biophys.Acta. (1990)