1989 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様増殖因子の細胞内シグナルとシグナル調節制御機構の解析
Project/Area Number |
01614507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾形 悦郎 東京大学, 医学部(分), 教授 (70013761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 俊一 東京大学, 医学部(分), 医員
岡本 卓 東京大学, 医学部(分), 医員
村山 芳武 東京大学, 保健センター, 助手 (40219952)
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Keywords | インスリン様増殖因子2型 / 増殖因子受容体 / 増殖シグナル / GTP結合蛋白 / 百日咳毒素 / シグナル調節機構 / 細胞周期 / ras蛋白 |
Research Abstract |
我々は哺乳類線維芽細胞株において、インスリン様増殖因子2型(IGF-II)が細胞周期依存性に増殖シグナルとして働くこと、さらにこのシグナルはIGF-II受容体(IGF-IIR)から百日咳毒素(IAP)感受性GTP結合(G)蛋白を介して伝えられることを発表した。本年度は1.IGF-IIRのシグナル伝達能をin vitroで測定するために、破砕細胞膜を用いた天然の系と人工リン脂質膜に精製蛋白のみを再構成する完全再構成系の2系を作成した。我々は、この2つの系でIGF-IIRが選択的にGi-2と共役することを証明した。これは、IGF-IIRがシグナル伝達能を有することを示すとともに、一回膜貫通受容体がG蛋白と共役することを直接証明した最初の例である。2.in vivoでのIGF-IIRシグナル解析系を用いて、静止期細胞でIGF-IIシグナルが伝わらない理由を明らかにした。これは(1)IGF-IIの細胞への結合の検討と、抗Gi-2 α抗体を用いてGi-2の定量をした結果、細胞周期の変化に伴うIGF-IIRとGi-2の量的変化は認められなかった。またPDGFとEGFを処理した細胞では、IGF-IIがGi-2の活性化を惹起したが、静止期細胞ではGi-2の活性化は見られなかった。これらのことから静止期細胞では、IGF-IIRとGi-2との間に脱共役が共存するためにIGF-IIシグナルが伝わらないことが明らかとなった。(2)PDGFとEGFの処理、あるいは細胞周期の進行が、静止期細胞でのIGF-IIR/Gi-2の脱共役をいかにして共役可能状態に変えるかを検討した。温度感受性ras移入細胞の静止状態では、IGF-IIはGi-2の活性化を起こさなかったが、40℃から37℃への温度変換により活性化を惹起した。この結果からras蛋白の活性化が静止期細胞でのIGF-IIR/Gi-2の脱共役を共役可能状態に変える働きをすることがわかった。これは、受容体とG蛋白との共役が細胞周期によって制御されるという点で画期的である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] I.Nishimoto: "Possible direct linkage of insulin-like growth factor-II receptor with guanine nucleotide-binding proteins" The journal of Biological Chemistry. 264. 14029-14038 (1989)
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[Publications] I.Nishimoto: "Calcium-signaling system triggered by insulin-like growth factor-II" N.I.P.S. 4. 94-97 (1989)
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[Publications] I.Nishimoto: "Cell calcium metabolism,1989" Plenum Press, (1989)