1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01614518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 新一郎 大阪大学, 医学部, 教授 (80028513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川市 正史 京都大学, 医学部, 助教授 (00195041)
小林 哲郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40162002)
三木 哲郎 大阪大学, 医学部, 講師 (00174003)
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Keywords | 遺伝性腫瘍 / MEN2A / 甲状腺髄様癌 / 副腎褐色細胞腫 / Loss of heterozygosity / rasオンコジン |
Research Abstract |
NEW2Aの発症機構の解明を目指して、次の研究を行なった。 (a)本邦のMEN2A家系を用いた10番染色体の地図作成とその応用:10番染色体上のFNRB(fibronectin receptor,beta polypeptide)遺伝子(10p11.2)とMEN2Aとの連鎖を本邦家系について証明した(θ=0.1にてlod score=5)。次にRBP3およびFNRBを用いた家系分析で、ある家系の20歳の女性を保因者と推定した。また、PFGE(polsed field gel electrophoresis)でRBP3とpMCK2を含む880kbの断片の制限酵素地図を作成した。MEN2A患者の白血球を同様に処理してRBP3とhybridizeさせたが、正常人と異なるバンドは得られなかった。 (b)MEN2Aの発症に必要な第2段階以降の遺伝子変異を解明するため、甲状腺髄様癌および副腎褐色細胞腫におけるallele lossと、rasオンコジンの点突然変異を調べた。RBP3よりもさらにMEN2Aに近いプロ-ブMEN203を用いても、両腫瘍合計19例中散発性髄様癌1例にallele lossを認めたに過ぎなかった。またD22S24でloss of heterozygosityが認められた。甲状腺髄様癌および褐色細胞腫から抽出したDNAを用いN-,H-,K-,rasのcodon12ならびにcodon61を含む部分をPCRで増幅して、点突然変異の有無を検討した。甲状腺髄様癌31例中1例でH-ras61に、褐色細胞腫12例中の2例でH-ras12に、それぞれ点突然変異を認めた。 (c)その他の遺伝性腫瘍好発家系の収集:MEN1の原因遺伝子は11番染色体の長腕にある。最近MEN1の家系を経験し、この家系について11番染色体を中心に連鎖分析と、腫瘍におけるallele loss目下検討中である。また、副甲状腺腺腫のみが遺伝する1家系を見つけた。これがMEN1または2Aの不全型なのか、別の独立した遺伝性腫瘍なのかは興味深い。この家系については10番ならびに11番染色体上のプロ-ブについて検討中である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] M.Yamamoto: "close linkage of MEN 2A with RBP3 locus in Japanese kindreds." Human Genet.82. 287-288 (1989)
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[Publications] K.Motomura: "A new BglII RFLP at the epidermal growth factor receptor locus(erbB-1)in chromosome7." Nucl.Acids Res.17. 2369 (1989)
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[Publications] J.Wu: "A polymorphic DNA marker on chromosome 10 linked to RBP3 on the MEN 2A side." Cytogenet.Cell Genet.48. 246-247 (1988)
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[Publications] Y.Takemoto: "Preclinical detection in Japanese families with myotonic dystrophy using polymorphic DNA markers" Jpn.J.Human Genet.34. 189-194 (1989)
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[Publications] M.Okazaki: "Allele loss on chromosome 10 and point mutation of ras oncogenes are infrequent in tumors of MEN 2A." Hery Ford Hosp.Med.J.(1989)
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[Publications] T.Shimotake: "Results of a screening program for multiple endocrine neoplasia." Henry Ford Hosp.Med.J.(1989)
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[Publications] 元村和由: "「DNA診断-分子生物学の臨床応用-」第III編遺伝性疾患のDNA診断1.DNA診断法-原理、方法と診断可能な遺伝性疾患-2)RFLPによる間接診断法b)未知DNA断片をマ-カ-として利用する方法。" 日本臨床. 47(増刊号). 209-215 (1989)
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[Publications] 山本正之: "「DNA診断-分子生物学の臨床応用-」第V編癌遺伝子とDNA診断4.ヒト癌遺伝子研究の動向とDNA診断7)甲状腺癌" 日本臨床. 47(増刊号). 663-668 (1989)
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[Publications] 三木哲郎: "DNA連鎖分析法(多型性DNAマ-カ-)による診断" 実験医学. 7(2). 121-127 (1989)
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[Publications] 三木哲郎: "多内分泌腺腫瘍症2A型(MEN2A)の原因遺伝子について" ホルモンと臨床. 37、増刊号. 43-49 (1989)
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[Publications] 高井新一郎: "優性遺伝をする癌" medicina. 26(2). 192-194 (1989)
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[Publications] 高井新一郎: "臨床医学からみた癌抑制遺伝子" 医学のあゆみ. 151. 543-546 (1989)