1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01619502
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾里 健二郎 京都大学, 教養部, 助教授 (90026790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 佑子 京都大学, 教養部, 助教授 (20026800)
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Keywords | 遺伝子導入 / トランスジェニック・フィッシュ / メダカ / マイクロインジェクション / β-ガラクトシダ-ゼ |
Research Abstract |
この研究の課題は魚類における遺伝子の発現機構を、クロ-ニングされた遺伝子を卵に導入することによって、解明することである。遺伝子発現の調節は5'上流域にある、プロモ-タ-の働きによって行なわれている。ところが、魚類で高い活性を示すプロモ-タ-は現在までほとんど知られていない。そこで今年度はプロモ-タ-の活性を検討するための実験系を作ることを目的にして、プロモ-タ-にレポ-タ-遺伝子としてβ-ガラクトシダ-ゼ遺伝子を結合したものを導入した。 導入に用いたプラスミドはpmiwZでRSVとニワトリβ-アクチンの二つのプロモ-タ-を含んでいる。このDNAをメダカの卵母細胞の核に注入した。卵を発生させて、のう胚期胚体形成期、5日胚の三つの段階で胚を固定して、indoxyl法の組織化学によって、遺伝子の発現を調べた。のう胚期では調べた胚の40%に胚体形成期の胚では調べた胚の51%に、5日胚では調べた胚の3%にβ-ガラクトシダ-ゼの発現が見られた。発現している組織の局在性については、のう胚期では外層の細胞が胚体形成期では卵のうの細胞に発現が見られた。胚体での発現は稀であった。5日胚では筋節に発現が見られた。胚そのものの内在性の酵素活性が胚体形成期より後の段階で卵黄のうと消化管に見られる。以上の結果から、この遺伝子の発現は卵黄のうに局在していて、胚体での発現は少ないことが考えられた。5日胚で発現が少なくなっているのは、卵黄のうでの発現が内在性のものと区別がつかないことによると考えられる。 今年度の実験によって、ここで用いたプロモ-タ-は遺伝子発現に関してある特異性を持っていること、β-ガラクトシダ-ゼ遺伝子がレポ-タ-として魚類でも有効であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Inoue,K.: "Stage-dependent expression of the chiken S-crystallin gene in transgenic fish embryos" Cell Differentiation and Development. 27. 57-68 (1989)
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[Publications] Ozato,K.: "Transgenic fish:biological and technical problems." Zoological Science. 6. 445-457 (1989)