1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01623511
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
黒田 洋一郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生化学, 副参事研究員 (30073084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和夫 東京都神経科学総合研究所, 神経生化学, 主事研究員 (80100139)
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Keywords | パ-キンソン病 / MPTP / サル / 培養ニュ-ロン / 黒質 |
Research Abstract |
高齢化が急速に進む日本の社会において最大の問題の1つは、痴呆をはじめとする脳神経系の老化の問題であろう。生理学的な老化のみならず、アルツハイマ-病(老人性痴呆)やパ-キンソン病など、脳神経系の老化との関連が深い病気も、いずれも現在までのところ原因が不明で予防、治療などの対策がとれず、家族、社会にとって切実な問題になっている。 脳神経系の老化にみられる顕著な個人差は、主として様々な環境からの影響の総合効果によると考えられている。老化関連神経疾患のうち、機能障害の部位が特異的であるパ-キンソン病においては、MPTPと呼ばれる化学物質が、合成麻薬密売事件を契機に,パ-キンソン症状を起こすことが発見されて研究の有力な手がかりが得られ、MPTP類似の、パ-キンソン病をひきおこす原因物質の探究と発症機序の細胞レベル,分子レベルでの解明が焦点となっている。さらにアルツハイマ-病においても環境中のアルミニュウムが原因とする説が最近強調されている。 パ-キンソン症状を起こすことで知られているMPTPの黒質ニュ-ロンへの神経毒性はヒト・サルなど霊長類でしか発現しないため、サルの黒質ニュ-ロンの培養を試みた。実験霊長類センタ-との共同実験によりサル胎児を帝王切開で入手し、脳を取り出し、黒質を含む部分を切り出し、酵素処理で細胞をバラバラにし、培養した。1週間後でも多数のニュ-ロンが生存し、その一部はチロシン水酸化酵素抗体による染色で陽性で、成熟サル黒質ニュ-ロンと類似した形態を示した。MPTPの代謝物で真の毒性物質と考えられるMPP^+の添加により、ニュ-ロンは生存が阻害され、パ-キンソン病原因物質のアッセイ系としての有用性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kuroda,Y.,Muramoto,K.,Kobayashi,K.Hirata,Y.Cho F.& Nagatau,T.: "Assay system for neurotoxicants causing Parkinson's disease" Alzheimer's and Parkinson's Disease. (1989)
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[Publications] Kuroda,Y.: "“Tracing circuit"model for the memory process in human brain" Neurochemistry International. 14. 309-319 (1989)
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[Publications] 黒田洋一郎: "シナプスとその可塑性の分子生物学" 分子神経生物学. 189-215 (1989)
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[Publications] 村本和世,黒田洋一郎: "大脳皮膚ニュ-ロンの培養とシナプス形成" Clin.Neurosci.7. 1025 (1989)