1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01628502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺前 紀夫 東京大学, 工学部, 講師 (70114569)
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Keywords | フ-リエ変換分光法 / ラマン分光法 / ステップ走査型干渉計 / 赤外顕微鏡 / 蛍光性色素 / シリコン |
Research Abstract |
振動スペクトル法の一つであるラマン分光法について、蛍光の妨害の影響を受けないFT-ラマン分光法の開発とステップ走査型FTIR分光計を用いたレ-ザ-励起赤外発光顕微法の検討とを行った。 FT-ラマン分光法ではNd:YAGレ-ザ-の基本波(1064nm)を励起光源とし、試料からのラマン散乱を集光レンズ、コリメ-タレンズによってFT分光計に導入した。干渉光中のレイリ-光部分はロングパスフィルタで除去し、InGaAs検出器で測定した。可視光励起では強い蛍光のためラマン線の測定ができないロ-ダミン6Gでもかなり良質のスペクトルの得られることが判った。また、フェナントレンを試料として測定系の評価を行ったところ、絶対波数640cm^<-1>付近に為信号がよく現われることが観測された。その原因を検討した結果、レイリ-光強度が強い場合、FFTの際に数値演算上のゴ-ストが生じることによると考えられた。本方法をシリコン単結晶の測定に応用した結果、可視光励起よりも深い部位からのラマン線が観測され、蛍光除去の利点の他に可視光励起とは異なる情報をFT-ラマン法により取得できることが分かった。 レ-ザ-励起赤外発光法では、励起源としてはNd:YAGレ-ザ-またはArイオンレ-ザ-を用い、MCT検出器とGeビ-ムスプリッタを備えたFTIR分光計で発光を検出した。従来法では電気的ヒ-タ-を用いて試料を加熱していたが、レ-ザ-励起により簡便に且つ試料の特定部位の照射が可能であること、またアルミ板上のポリシロキサン薄膜では、室温発光に比し約1桁の感度向上が観測された。さらにステップ走査型FTIR分光計を用い、レ-ザ-光を変調して赤外発光を測定した結果本法が三次元的空間分解能を持った計測法となり得ることが示された。 以上、本年度開発した振動スペクトルの新しい計測法は、分子性結晶の解析に有効となると考えられる。
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