1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01628508
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
前田 候子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (40017190)
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Keywords | ホトクロミズム / [1.5]電子環状反応 / 光化学反応 / 固相 / 結晶構造 / ピエゾクロミズム / ラジカル解離 / 水素結合 |
Research Abstract |
固相におけるホトクロミズムとピエゾクロミズムの研究実績について以下に記す。(I)ホトクロミズムについて:(a)2,2,4,6-テトラフェニルジヒドロ-1,3,5-トリアジン(TPDT)は再結晶の溶媒がアルコ-ル類やアミン類のように、水素結合のドナ-にもアクセプタ-にもなる場合には光に安定な結晶を与え、一方アセトンや環状エ-テルのように水素結合のアクセプタ-にのみなる場合には光に感じて着色する結晶を与える。此の際の機構を明かにする為に、固相での光反応を検討し結晶溶媒の違いによって生成物が異ることを溶液(極性プロトン性、非極性)、中の光反応生成物との比較より明かにした。これらの結果等に基き、着色種は窒素を含むビシクロ[3,1,0]ヘキセン中間体の開環したイリド構造であることを明かにした。2種の水素結合によりTPDTと溶媒が交互に長くりボン状に結合している場合には、ビシクロ環から[1,5]電子環状反応による開環が抑制される為着色種は生成しない。結果は既に欧文誌に掲載されている。(b)1,3,3,5-テトラフェニル-1,5-ペンタジオンも結晶中でホトクロミズムを示すが、これに関連して3位のアリ-ル基の異る数種の誘導体の光による固相中での水素引き抜き反応について検討した。その結果、3位のアリ-ル基の違いによって反応性が大きく変化すること、固相と溶液相で反応性が変ることを認めた。結果は既に論文にまとめ、投稿中である。(2)ピエゾクロミズムについて:ビス(2,3,4-トリフェニルクロメニル)及び2,4位のパラ位に置換基を持つ誘導体を合成し、固相におけるピエゾクロミズム、加圧によるラジカル解離反応について検討した。また加熱による解離(サ-モクロミズム)との比較検討から立体的にはあまり影響を与えるとは思われないパラ位の電子的影響が、熱解離と圧力による解離では異っているという興味ある結果を得た。今後は他の系統の化合物についてもこの点について検討する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yukie Mori,Yuji Ohashi,Koko Maeda: "Crystal Structure and Photochemical Behavior of 2,2,4,6-Tetraphenyl-dihydro-1,3,5-triazine and Its Inclusion Compounds" Bull.Chem.Soc.Jpn.62. 3171-3176 (1989)
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[Publications] Emiko Yagi,Masayoshi Ishige,Yuji Ohashi,Koko Maeda: "3-endo-(1-Naphthylamino)camphor" Acta Crystallogr.,Sect.C. 45. 1109-1110 (1989)
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[Publications] Yukie Mori,Yuji Ohashi,Koko Maeda: "3-Methyl-2,2,4,6-tetraphenyl-2,3-dihydro-1,3,5-triazine" Acta Crystallogr.,Sect.C. 45. 1115-1116 (1989)
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[Publications] Yukie Mori,Yuji Ohashi,Koko Maeda: "Crystal Stractures and the Photochemical Hydrogen Abstruction Reaction" Acta Crystallogr.,Sect.B.