1989 Fiscal Year Annual Research Report
双環オキサラクタム誘導体の結晶場を利用する特異的反応制御
Project/Area Number |
01628510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山根 隆 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80030055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 和彦 名古屋大学, 農学部, 助手 (20023484)
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Keywords | X線構造解析 / 結晶構造 / 固相反応 / 双環オキサラクタム / 開環反応性 |
Research Abstract |
双環オキサラクタム、8-オキサ-6-アザビシフロ[3,2,1]オクタン-ク-オン(以降BOL)の固相反応性に及ぼす置換基の効果について検討した。BOLのN-アシル誘導体の構造と反応について明らかにするために、N位をベンザイル基(Bz)で置換したBz-BOLとシナモイル基で置換したCin-BOLの構造解析を行った。また後述する様に、ラクタム部分の配向を水素結合で規制することにより、固相反応の進行が期待される。そこで、C^1位を水素結合ドナーであるヒドロキシメチル基で置換したMe(OH)-BOLおよびその誘導体の合成を進めている。第一段階として、Me-BOLの合成に成功したのでその解析も行った。 Cin-BolとBz-BOLの構造解析の結果、ラクタム基に対するBz基、シナモイル基の配向にはお互いに良い対応がみられた。即ち、アシル置換ラクタムでは、2面角などからみてラクタムとアシル基の間で完全な共役系が形成されていないにもかかわらず、特定の規則構造を採り易いことが示された。N-アシルBOLにおいて、ラクタム基中のC=O、C=N結合距離とアシル基中の対応するC=O、C=N結合距離との間には有意な差は見られない。しかし、N-アシルBOLと元のBOLとの対応する結合距離を比較すると。Bz-BOL、CN-BOLではBOLと比べ置換基の導入によりラクタムC-N結合が有意に伸びている。即ち、BOLのラクタム系では形成されていた共役系がN-位のアシル化により弱められている。その結果、カルボンル結合の二重結合性が強まりCN結合はより単結合性が増加していために、アシル化されていないBOLと比べて、N-アシルBOLの開環反応性が増加することが明らかとなった。 上記BOL誘導体の固相反応を試みたが、反応は進行しなかった。パッキング様式の検討より、ラクタム部分の配向を規性するためにC^1かC^5位に水素結合可能な置換基を導入する必要性が、示唆された。
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