1989 Fiscal Year Annual Research Report
固体NMR法を用いた包接場におけるゲスト分子の構造変化と自由度
Project/Area Number |
01628511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今城 文雄 京都大学, 理学部, 助手 (30108980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 武彦 京都大学, 理学部, 教授 (50093274)
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Keywords | 包接化合物 / 固体NMR / 分子力学計算 / 分子運動 / ^<13>C化学シフト |
Research Abstract |
固体^<13>CNMRと分子力学計算を用いてジアニン化合物(4-p-ヒドロキシフェニル-2,2,4-トリメチルクロマン1)をホストとした包装化合物中のn-アルカンゲスト分子の構造と運動の解明を試みた。1は6分子で内部に砂時計状の空孔をもつ包接化合物を作る。n-アルカン型ゲストとしてn-オクタン2がこの空孔内に1分子包装されることが知られているが、2の鎖長と空孔の長さから包接化合物内での2の配座は全アンチではないと推定されていた。本年度は測定装置の改造もあって、予備的研究を行った。まず1の大量合成を行い、次にゲスト分子として2以外にエタノ-ル、1-、2-、t-ブタノ-ル、n-ヘキサン、n-ヘプタン3などを選んで包接化を試みた。この内n-ヘキサンは包接されなかった。^<13>CCPMASNMRの測定による1中のゲスト分子の^<13>C化学シフトはエタノ-ルでは溶液中の値とほとんど変化がなかったのに対し、2や3ではほとんどすべての炭素で溶液中より高磁場側に移動した。これは尿素包接化合物のn-アルカン分子とは全く逆の現象である。しかも1中では2および3ともr位(C4)炭素の高磁場シフトが著しいこと(2、3でそれぞれ7.4,5.9ppm)から、C2-C3結合のゴ-シュ配座の比率が高いことが推定された。このことはMM2分子力学計算によっても確かめられた。またdipolar depahse実験により1中では測定したどの分子も速い分子運動を行っていることがわかった。これはX線結晶解析ではゲスト分子を明確にとらえることができなかったことに対応している。次年度においてはSASS NMR法を用いて各炭素位でのCH双極子スペクトルの測定を行って計算と直接比較できるより詳細な知見を得る。また他のゲスト分子についてもその挙動の解明を行う。
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Research Products
(1 results)