1989 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンEおよびタウリンの自律神経系に及ぼす影響について
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01636509
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
脇田 良彬 熊本大学, 医学部, 助手 (80040179)
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Keywords | 含硫アミノ酸 / メチオニン / タウリン / ATP / 交感神経終末 / ノルアドレナリン / 内皮由来血管弛緩因子 / 精管 |
Research Abstract |
1.ラット摘出精管を二分し、単発及び連続刺激にて、経壁的に交感神経刺激を行なうと一過性の収縮(ATPを介する反応)に続く持続性の収縮(NAを介する反応)が得られた。ATPを介する収縮に対して、メチオニン、システイン、シスチン、システイン酸は10^<ー5>Mより濃度依存性に増強作用を示した。一方タウリンでは、両収縮に対して、10^<ー4>-3×10^<ー3>Mで抑制作用がみられたが、NAの投与による収縮に対しては影響はみられなかった。またビタミンE及びその溶媒であるエタノ-ルでは、ともにNAを介する収縮に対して抑制がみられた。ビタミンEについては、脂溶性のため、生体内投与によりさらに検討を要すると思われる。 2.ラット胸部大動脈輪状標本において、NAにより収縮させた血管に対しATPにより弛緩がみられた。この弛緩反応に対して、メチオニン、システイン、システイン酸により10^<ー5>-3×10^<ー3>Mで著明な増強作用がみられた。一方、タウリンでも3×10^<ー3>Mで同じく弛緩作用の増強がみられた例もあったが、これについてはさらに検討を要すると思われた。これに対して、KClで収縮を起こした血管においてもATPで弛緩がみられたが、この弛緩作用に対しては、メチオニン、システイン、システイン酸ともに影響はみられなかった。一方内皮細胞を破壊した標本では、NA収縮下におけるATPの弛緩作用の消失がみられた。 これ等の結果より、タウリンは、精管において、交感神経終末部に対して抑制作用を有するものと思われる。また血管においては、最近の報告ではATPは内皮由来血管弛緩因子およびPGI_2を介して血管の弛緩を起こすことが知られているが、メチオニン、システイン等の含硫アミノ酸はこのATPの作用に対して増強作用を有し、間接的に交感神経による血管の収縮を抑制するものと思われた。また同様の実験を、攣縮の緩解という観点から、冠、脳血管でも行う必要があると思われる。
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