1989 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボスポンジンの係わる新しい血液凝固調節機構に関する研究
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01637502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 洋由 東京大学, 薬学部, 助手 (40167987)
梅田 真郷 東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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Keywords | 血小板凝集 / 血小板活性化 / ホスファチジルセリン / ホスホリパ-ゼA_1 / ホスホリパ-ゼA_2 / 抗リン脂質抗体 / 血餅退縮 |
Research Abstract |
血小板膜に存在するホスファチヂルセリン(PS)は血小板活性化と凝固系を結ぶ重要な因子である。このPSをめぐって、血小板自身の分秘するPS-特異的ホスホリパ-ゼA_1、ホスホリパ-ゼA_2、抗-PS抗体が生理的、病理的条件下、出現しPS依存性の反応系の制御にあたっていると考えられる。これまで以下2つの項について検討してきた。 血小板膜PSの分解:ラット洗浄血小板をトロンビン、コラ-ゲン、A23187などで刺激すると、PS-PlaseA_1,PlaseA_2が分泌される。この内A23187刺激時のみ、血小板自身のPS、PEが有意に分解し、分秘酸素が作用している事が明らかとなった。分秘酸素の作用発現に至るプロセスの解析を進めている。 血液凝固にともなって観察される血餠退縮時に、血小板が一部崩壊することが知られている。この血餠退縮時に、ラット洗浄血小板で見られたと同様なリン脂質の崩壊反応が著しく起こることを見いだした。本反応の生理的な役割を明らかにすべく、検討を続けている。 抗ーPS抗体の意義:正常BALB/Cマウスより樹立した抗PS抗体のル-プスアンチコアグラント活性(LAC活性)、ssDNAへの結合及びヒト臍帯静脈由来内皮細胞への結合活性を測定した。PS特異的抗体はLAC活性は示したが、DNA及び内皮細胞への結合は認められなかった。各種の酸性リン脂質と強く交叉反応する非特異的抗体は、強いLAC活性を示し又、DNA及び内皮細胞へも強く結合し、いわゆるpathogenic antibodyと類似の性質を示した。血栓症における本抗体の位置づけをさらにさぐる予定である。
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[Publications] 水島洋: "ウサギ血小板分泌性ホスホリパ-ゼA_2の精製とその性状" J.Biochemistry. 105. 520-525 (1989)
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[Publications] 工藤一郎: "炎症部位に見い出される細胞ホスホリパ-ゼA_2の性状と生理的役割(総説)" Dermatologica. 179. 72-76 (1989)
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[Publications] 駒田雅之: "ラット血小板ホスホリパ-ゼA_2のcDNAの構造" J.Biochemistry. 106[1989. (545-547)
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[Publications] 村上誠: "ラット血小板ホスホリパ-ゼA_2の生体内動態" Biochim.Biophys.Acta. 1005. 270-276 (1989)
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[Publications] 梅田真郷: "抗ホスファチジルセリンモノクロ-ナル抗体の作製と反応性" J.Immunology. 143. 2273-2279 (1989)