1989 Fiscal Year Annual Research Report
ニュ-ロン及びグリアに局在する機能蛋白の遺伝子発現調節蛋白の分離と超微量分析
Project/Area Number |
01638507
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
桑野 良三 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20111734)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康夫 新潟大学, 脳研究所, 名誉教授 (00018590)
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 助手 (40162325)
栗原 正 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50018800)
|
Keywords | 神経細胞 / グリア細胞 / S100蛋白 / コレシステキニン / 遺伝子 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
ニュ-ロンおよびグリアに局在する機能蛋白として、今年度はS100蛋白に焦点をしぼって研究を行なった。Ca結合蛋白として知られているS100蛋白は神経系において神経突起伸張作用の活性がある。このS100蛋白の神経系に於ける遺伝子発現を調節している超微量蛋白を分析するために、遺伝子をクロ-ニングし構造を解析した。S100蛋白遺伝子は全長6kbpで3コのエクソンから構成され第一エクソンは5'非翻訳領域のみからなっていた。βガラクトシダ-ゼをレポ-タ-遺伝子として用い、第一エクソンの一部と種々の長さの5'上流領域を結合したキメラ遺伝子を細胞に導入して、細胞特異的発現を観察した。その結果、S100蛋白産生培養細胞であるCa細胞では遺伝子発現に必要と思えるプロモ-タ-領域は転写開始点の上流-196〜25であった。この基本的なプロモ-タ-を含む5'上流と特異的に結合する蛋白が脳核抽出液中に存在するかを解析した。 ゲル・シフト法によると、ラット脳核抽出液中にS100蛋白遺伝子の5'上流領域-131〜-25と特異的に結合する超微量に存在する蛋白因子を見出した。肝臓核及びHeLa細胞抽出液中にはこの因子は存在しなかった。次に、核蛋白をSDSーPAGEしニトロセルロ-スフィルタ-に移し上記の5'上流領域と特異的に結合する蛋白の同定を試みた。それによると、分子量6万で恐らく一種類の蛋白が直接結合に関与していると言う成績を得た。フットプリンティング法による分析から脳核蛋白との結合に必要と思える塩基を推定することができた。現在、このDNA結合蛋白が神経系に於けるS100蛋白遺伝子の組織特異的発現調節にどのように関連するかを検討している。
|
-
[Publications] Y.Takahashi,R.Kuwano,H.Usui,K.Araki,M.Hasegawa and Y.Suzuki: "Expression of Cholecystokinin Gene in the Neuron and Paraneuron" Arch.Histol.Cytol.52. 63-68 (1989)
-
[Publications] 高橋康夫,桑野良三,荒木一明,薄井宏,長谷川まこと: "コレシストキニン" 日本臨床. 47. 2255-2259 (1989)
-
[Publications] 高橋康夫,栗原正,桑野良三,崎村建司: "神経系特異遺伝子" 蛋白質・核酸・酵素. 35. 1407-1414 (1990)
-
[Publications] 森井研,桑野良三,高橋康夫: "ヒトS100蛋白βサブユニットのcDNAクロ-ニング" 神経化学. 28. 132-133 (1989)
-
[Publications] 高橋康夫,桑野良三,薄井宏,荒木一明,長谷川まこと: "ニュ-ロンおよびグリア細胞における細胞特異蛋白質遺伝子の転写調節" 実験医学. 7. 144-147 (1989)
-
[Publications] Y.Takahashi,T.Yamakuni,R.Kuwano,T.Kumanishi and E.O'hamr: "Ca protein Signaling" H.Hidaka他, 257-262 (1989)