1989 Fiscal Year Annual Research Report
Y染色体遺伝子導入形質転換マウスによる性決定機構の解析
Project/Area Number |
01640505
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
東條 英昭 富山医科薬科大学, 動物実験センター, 助教授 (20041668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 政美 富山医科薬科大学, 動物実験センター, 教務職員 (50186441)
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Keywords | トランスジュニックマウス / 異性間キメラマウス / パ-コ-ル / X・Y精子 |
Research Abstract |
本研究は、外来DNAがY染色体に挿入されたトランスジェニック(Tg)マウスを用いて、哺乳類における性決定機構に関与する要因を解析するものである。BALB/C同士およびTgマウスとC57BL/6マウスとの交配によって得た8細胞期胚を元に、胚集合法によってキメラマウスの作製を行なった。その結果、8匹のキメラマウスが得られ、表現型から判定して雌5匹、雄3匹であった。色素にキメリズムが認められる尾部の一部を切除し、DNAを描出した。ドットブロット法によってDNAを解析したところ、雄3匹については全て、Tgマウス由来の細胞を保有し、また、雌5匹については全て、Tgマウス由来の細胞を保有していなかった。今回のキメラ作製では、目的とする異性間キメラマウスは得られなかった。一方、このTgマウスの精子を用いて、パ-コ-ル密度匂配遠心分離法により、X・Y精子の分離を試み、その結果を、DNA-DNAハイブリダイゼ-ション法によって評価した。7段階(35-84%)から成るパ-コ-ル密度匂配に、精巣上体より採取した精子浮遊液を重層し、300gで、10分、15分および20分間それぞれ遠心した。遠心後、各分画中の精子を回収・洗滌し、精子DNAを抽出した。得られたDNAをニトロセルロ-スフィルタ-上にドット・固定したのち、^<32>P標識DNAプロ-ブとハイブリダイズさせた。各DNAドット部位を切り取り、シンチレ-タ-に投入して放射能を測定した。その結果、遠心分離条件の違いにかかわらず、各DNAドット間および対照(非分離精子)との間には、測定値に差異がなく、各精子分画におけるX精子とY精子との比率がほぼ等しかったことが認められた。本実験の結果から、精巣上体尾部精子を用いる限り、比重差によるX・Y精子の分離は困難であることが示された。
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[Publications] 東條英昭: "これからの実験動物と動物実験" アニテックス. 2(2). 4-10 (1990)
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[Publications] 東條英昭: "ヒトグロビン遺伝子のトランスジェニックマウスでの発現" 動物血液型蛋白多型研究会誌. 18. (1990)
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[Publications] 東條英昭,久保政美: "Y染色体上に外来性遺伝子を持つトランスジェニックマウスの精子を用いたPercol(密度匂配遠心法によるX・Y精子分離の評価" 実験動物. 39(2). (1990)
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[Publications] 東條英昭: "バイオテクノロジ-利用による新しいモデル動物の開発" 岡山実験動物研究会誌. 7. (1990)
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[Publications] 鈴木達行: "最近バイオテクノロジ-全書「家畜の繁殖と育種」" 農業図書, 250 (1990)
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[Publications] 鈴木善祐: "繁殖学辞典" 文永堂, 600 (1990)