1989 Fiscal Year Annual Research Report
主要組織適合クラスI抗原の胎生期発現とそのマウス胎児-母体関係への影響
Project/Area Number |
01640509
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮崎 純一 熊本大学, 医学部, 助教授 (10200156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 文 熊本大学, 医学部, 助手 (40136213)
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Keywords | 主要組織適合抗原 / トランスジェニックマウス / アクチンプロモ-タ- |
Research Abstract |
主要組織適合クラスI遺伝子の発現は非常に厳密に発生中期から始まるように制御されている。この制御の生物学的な意義を検証するためにクラスI抗原を発生初期から強く発現するトランスジェニックマウスを作った。そのためにまず、クラスI遺伝子L^dとK^bからプロモ-タ-を取り除き、ニワトリ細胞質β-アクチンプロモ-タ-に置き換えたものを作成した。β-アクチンは体のほぼすべての細胞で、常に高いレベルで作られており、そのプロモ-タ-はF9細胞を含む様々の培養細胞株で強い活性を示す。このβ-アクチンプロモ-タ-は細胞の発生分化の段階に拘わらず強い活性を示すことから、クラスI遺伝子を発生初期より強く発現させるのに最も適したプロモ-タ-の1つと考えられた。クラスIL^d遺伝子(K^bも同様)をこのプロモ-タ-に接続した合成遺伝子(Ac-L^dとAc-K^b)を作成し、マイクロインジェクション法により各々、C57BL/6(B6)、B6C3HF1マウスの受精卵に導入した。仮親はICRまたはB6C3HF1マウスを用いた。B6マウスは約80匹生まれ、このうち3匹のマウスにAc-L^d遺伝子が入っていることが確かめられた。これらマウスをB6マウスに交配して得られた子孫マウスにおけるAc-L^d遺伝子の発現を調べるため、様様の臓器から抽出されたRNAをノザ-ン法により調べた。その結果、脾臓、腎臓だけでなく、普通はクラスI遺伝子の発現しない脳や筋肉でも強い発現が確認された。また、末梢リンパ球をL特異的単クロ-ン抗体で染めて解析したところ、本来L^dを発現するBalb/cマウスと同程度の発現が認められた。一方、Ac-K^b遺伝子を受精卵に導入したものより、約30匹のマウスが誕生した。このうち、5匹にAc-K^b遺伝子が導入されていたが、K^bの発現は今後調べて行く。これらのマウスを用いて、胎児と母体の間で異常の有無を調べて行く予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Miyazaki,J.,Takaki,S.,Araki,K.,Tashiro,F.,Tominaga,A.,Takatsu,K.& Yamamura,K.: "Expression vector system based on the chicken β-actin promoter directs efficient production of interleukin-5." Gene. 79. 269-277 (1989)