1989 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム-カルモデユリン情報伝達系に関する分子生理学的研究
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01641507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安楽 泰宏 東京大学, 理学部, 教授 (20012643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 禎一 東京大学, 理学部, 助手 (20183767)
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Keywords | カルモデュリン / Ca^<2+>-結合タンパク質 / 酵母 / GAL1プロモ-タ- / 遺伝子重複 / in vitro mutagenesis |
Research Abstract |
カルモデュリンは真核生物に偏的に存在するCa^<2+>結合タンパク質であり、細胞内Ca^<2+>シグナル伝達系の中心的役割を果たしている。カルモデュリンは立体構造でみると、ほぼ球状で互いによく似たNドメインとCドメインとが中央のαヘリックス(セントラルヘリックス)で連結していることがわかる。各々のドメインにはCa^<2+>結合部位が2つづつ含まれ、酵素の活性化に必要な疎水領域もそれぞれのドメインに存在している。本研究では、この繰り返し構造に着目し、酵母のin vivoの系を使ってカルモデュリンの必須機能領域を明らかにした。酵母の細胞増殖にとってカルモデュリンは必須であるが、正常なカルモデュリンの代わりにさまざまな部分断片のシリ-ズを発現させて、それらの増殖の相補能を調べた。具体的にはオリゴヌクレオチドやDNAカセットを用いて翻訳開始コドンや終止コドンをカルモデュリン遺伝子のコ-ディング領域に新たに挿入し、その部分をGAL1プロモ-タ-で発現させる系を作成して実験を行った。その結果、細胞増殖のためには、NドメインあるいはCドメインのどちらか一方でもあれば十分であることがわかった。また中央のセントラルヘリックスのほとんどを欠くような部分断片でも十分であることから、カルモデュリンに特徴的なセントラルヘリックスという構造も細胞増殖に必要ではなかった。つまりカルモデュリンは2つの機能的にほぼ等価なドメイン(NドメインとCドメイン)が結合してできている。確かに半分の大きさのカルモデュリンが作られていることは免疫沈降法を用いて確認した。7つのCドメインカルモデュリン、6つのNドメインカルモデュリンはその大きさの違いのより、SDS-PAGEの電気泳動度に違いが認められた。以上の発見はカルモデュリンの機能発現のメカニズムを考える上で重要であり、カルモデュリンは2回の遺伝子重複でできたという分子進化説を機能的な面からも強く裏ずけている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohya Y and Anraku Y: "Functional expression of chicken calmodulin in yeast." Biochem Biophys Res Commun. 158. 541-547 (1989)
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[Publications] Ohya Y and Anraku Y: "Involvement of calmodulin in nuclear division." Curr Genet. 15. 113-120 (1989)
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[Publications] Uno I,Ohya Y,Anraku Y and Ishikawa T: "Cell cycle-dependent regulation of calmodulin in S.cerevisiae." J Gen Apple Microbiol. 35. 59-63 (1989)
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[Publications] Ohya Y and Anraku Y: "Conditional-lethal mutant of calmodulin in yeast.pp481-490 In:Calcium Protein Signaling." (H.Hidaka,eds)Plenum Press., 532 (1989)