1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01641525
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 八郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20029937)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 雅人 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (10177058)
|
Keywords | IP_3 / IP_4 / 脱リン酸化酵素 / イノシト-ル代謝 |
Research Abstract |
情報受容と共役してホスファチジルイノシト-ル4,5-ニリン酸から生成するイノシト-ル1,4,5-三リン酸(IP_3)と、それがさらにリン酸化されて生成するイノシト-ル1,3,4,5-四リン酸(IP_4)は、細胞内Ca^<2+>濃度調節に関与する2ndメッセンジャ-として機能し、これらの生成、分解のバランスによってCa^<2+>を介する情報伝達系が調節されると考えられている。本研究では、この情報伝達系の制御機構を理解する目的で、主にIP_3,IP_4の分解に関わる酵素に注目し、その酵素分子の性質、活性調節機構に検討を加えた。 IP_3,IP_4は、同一の脱リン酸化酵素(イノシト-ルポリリン酸5-ホスファタ-ゼ)によって分解されることが知られているが、まずラット脳から本酵素の分離精製を試みた。その結果、膜画分から一種、可溶性画分から二種の三種のイソ型の存在を見い出した。そのうち、可溶性画分からの一種はIP_3に特異性が高く、また脳に特異的に存在する可能性が示された。他の二種は互いによく似た性質を示し、IP_4により高い親和性を持ち、種々の組織に存在していた。このことから、脳には特有のイノシト-ル代謝を介する情報伝達系が存在することが示唆された。活性調節に関しては、リン酸化の効果、遊離Ca^<2+>の影響を詳細に検討したが、いずれのイソ型も有意な活性変動を示さなかった。次年度にはさらに検索の範囲を広げ、活性化あるいは不活性化を誘起する因子を追求する予定である。また本酵素は三種とも含有量が少なくかつ不安定であるため高度精製は困難なものとなっており、抗体作成にもまだ成功していない。現在、IP_3をセルロ-スに結合させたアフィニティ-カラムを用いての精製を試みており、今後この方法で精製した標品を用いて抗体作成を行なう予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] K.Takimoto: "Purification and characterization of membrane-bound inositolpolyphosphate 5-phosphatase" j.Biochem.106. 684-690 (1989)
-
[Publications] 滝本浩一: "イノシト-ルリン酸脱リン酸化酵素" 実験医学. 7. 79-85 (1989)