1989 Fiscal Year Annual Research Report
分子不斉を有する新規な金属ポルフィリン錯体を利用する新しい不斉認識場の構築
Project/Area Number |
01648506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 祥平 東京大学, 工学部, 教授 (20010762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相田 卓三 東京大学, 工学部, 講師 (00167769)
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Keywords | ポルフィリン / 金属ポルフィリン / 不斉 / メソ置換ポルフィリン / コバルトポルフィリン |
Research Abstract |
本研究はポリフィリン骨格に直接不斉環境を持たせ、それ自体あるいはその金属錯体を用いて高度な不斉識別能を実現させることを目的としている。本研究における不斉の発現原理は従来のものと異なり、ポルフィリン環のまわりの周辺置換基の特定の配列により生じる『分子不斉性』を利用するものである。 これに関して、我々ま既に分子不斉を有するポルフィリンとして、種々のN-置換ポルフィリン、ストラップドポルフィリンを光学分割することに成功してきた。本年度は、新たにキラルな(1)シングルア-ムドポルフィリン、および(2)3価金属錯体の光学分割について検討した。 (1)エナンチオトピックな面を有するエチオポルフィリンのメソ位の1つにバルキ-なピバロイルアミノ基を有するシングル3-ムドポルフィリン亜鉛錯体(12)および銅錯幅(1b)は光学異性体分離用カラムを用いてHPLCにより完全に光学分割された。さらに12に関してはそのラセ三化(ア-ムのflipping)が可視光照射により著しく加速されるという知見も得た。 (2)エチオポルフィリンに、3価のコバルトを導入した金属錯体はその軸配位子の存在によりキラルとなり、実際に軸配位子がアルキル基、およびアリ-ル基のものについては上の(1)と同様の手法により光学分割できることが明らかとなった。
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