1989 Fiscal Year Annual Research Report
電子供与性(n)ラジアレンの特異な酸化還元挙動と中間酸化種の特性
Project/Area Number |
01648512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助教授 (30093256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 淳 京都大学, 教養部, 助教授 (10027071)
御崎 洋二 京都大学, 工学部, 助手 (90202340)
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
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Keywords | 電子供与性ラジアレン / 酸化還元 / 酸化種 / 導電性 / 磁性 / エレクトロクロシズム / 有機機能性材料 |
Research Abstract |
今年度では、本研究に用いる電子供与性〔n〕ラジアレン(n=3,4,5,6)の合成について検討し、チオチサンテニル〔3〕ラジアレン、1,3-ジテオ-ル〔4〕-、〔5〕-そして〔6〕-ラジアレンを好収率で得ることに成功した。これらのラジアレンは、いずれも比較的低電位領域で多段階から成る酸化還元過程を示した。極めて興味あることに、1,3-ジチオ-ル〔5〕ラジアレンは見掛上唯一つの酸化還元波を示し、かつこの波が4電子の移動を含んでいることを明らかにした。通常の有機化合物で見掛上1段階で4電子移動の酸化還元を示す例としてはこれが最初である。また、いずれのラジアレンも酸化の進行に伴ない、色調の詳明な変化が観測された。とくに、1,3-ジチオ-ル〔5〕ラジアレン合成の前駆体として用いたテトラキス(1,3-ジチオ-ル)シクロペンタノン及びその誘導体のジカテオンは、700nmに至る著しく長波長領域に吸収極大を示した。これらのジカテオンがそれ程大きなπ共役系でないにも拘らず、このように長波長領域に吸収を有することは異常である。そこで、これらのジカチオン塩を合成し、このジカチオンの基底状態への励起ビラジカル構造の関与についてesrを用いて調べた。確かにそのような関与があり、かつその寄与の程度は予想以上に大きいことが判明した。その詳細については今後さらに検討する。また、〔3〕-及び〔5〕-ラジアレンのジカテオンは、各々C_3及びC_5以上の分子対称を有しているならば、基底3重項となる。これを確かめるために、esrを用いて検討した。〔3〕ラジアレンの場合には基底3重項ではなかったが、〔5〕ラジアレンではDDQとの1:2CT錯体中で、このジカテオンの一部は予想通り基底3重項になっていることが明らかにされた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Toyonari Sugimoto: "Ethylene Analogues of Tetrathiafulvene and Tetraselenafulvene:New Donors for Organic Metals" Chemistry and Materials. 1. 535-547 (1989)
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[Publications] Yohji Misaki: "Synthesis and Properties of 1,3-Dithiole-[3]-and-[4]-dendralenes,Acyclic Systems of the Corresponding[3]-and[4]-Radialenes" Tetrahedron Letters. 30. 5289-5292 (1989)
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[Publications] Toyonari Sugimoto: "Design of Purely Molecular/Organic Ferromagnets by Use of Oddnumbered[n]Radialenes" Molecular Crystals and Liquid Crystals. 176. 259-270 (1989)